2024.10.17

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「こころが男性どうし」の“ふうふ”が作る家族の形 応援し続けてきた人たちと、変わってきた社会の目【忘れないよ、ありがとう⑥】

9月15日に行われた、レインボープライド。

わたしは会場で、ベンチに腰掛けてみぃくんに話しかけるきみちゃんを見つけました。
「お久しぶりです」と声をかけると、きみちゃんは小さく会釈をして微笑んでくれました。

きみちゃんは去年のパレードには急な体調不良で参加できなかったので、みぃくんと参加するのはことしが初めてです。

みぃくんはシャボン玉を飛ばすのに夢中。フィナーレの「バブルリリース」で使うためのものでしたが、その前に、シャボン玉液を使い切ってしまっていまい、ちかさんは新しいものを買いに行っているところでした。

15分ほど経って、ちかさんが戻ってきました。わたしの姿を見つけると、「すみません…!お久しぶりですね」と優しく声をかけてくれました。

ちかさんはきみちゃんに、小声で話しかけます。
「あれ、言ってもいい…?」
きみちゃんは、小さくうなずきます。

ちかさん、きみちゃん、みぃくんと、わたし

「実はいま、きみちゃんは妊娠中で、3月にうまれるんです」

ちかさんの報告を聞いて、きみちゃんは照れたようにうつむきながら、小さくうなずきました。

取材を始めた3年前は、「子どもを持ちたい」という2人の選択に対し、「子どもがかわいそう」という心無い言葉が投げかけられることもありました。
しかしいま、きみちゃんとちかさんの近くで、みぃくんは笑顔で幸せそうに走り回っています。そんな3人の様子を見て、「お子さんかわいいですね」「テレビで見ました、応援しています」と、声をかける人もいます。

「ありがとうございます」と晴れやかな顔で答える2人の姿は、頼もしく見えました。

男性どうしの“ふうふ”として、自分たちらしい家族をつくる2人。
まわりの人からの応援が、2人を励ますことにつながっているのだとしたら、みぃくんの笑顔を守るのは、わたしたち社会全体からの目線であるのかもしれません。

***

家族のこれまでは、連載「忘れないよ、ありがとう」でお伝えしています。

文:HBC報道部・泉優紀子
札幌生まれの札幌育ち。記者歴6年。道政・市政を担当しながら、教育・福祉・医療に関心を持ち、取材。大学院時代の研究テーマは「長期入院児に付き添う家族の生活」。自分の足で出向き、出会った人たちの声を聞き、考えたことをまとめる仕事に魅力を感じ、記者を志す。居合道5段。

編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容はHBC「今日ドキッ!」放送時(2024年9月16日)の情報に基づき、追記しています。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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