2024.08.06
深める堰八アナ:小島さんの「アーティステックコーディネーター」はどんなお仕事なのでしょう?
小島さん:どちらかというと「プロデューサー」に近いのかなと思います。芸術監督である納谷さんが考える演目を創作するためのキャストやスタッフを集めたり、どうPRしていくのかを一緒に考えていくことがまず中心です。今後は道外から作品を招いたりなども考えていく予定です。
納谷さん:僕がラインナップを考えて提案して、それを本当に実現できるのか、今の時代にそっているのかを小島が一緒に精査する。最終的には、劇場の支配人と事務局長も含めた4人で決定する、というような座組ですね。
堰八アナ:なるほど!お二人は北八劇場ができるより以前からのお付き合いなんですか?
小島さん:私は高校から演劇を始めて、札幌市を中心に活動する劇団で役者をやっていたんです。そこに納谷さんが客演(※)として出演したのが最初の出会いですね。
※客演とは:役者が自分の所属ではない劇団などに出演すること。
納谷さん:そうそう。もともと僕らは「共演者」としての出会いがきっかけだったんです。お互いに別々の劇団に所属していたんですけど、小島は、僕の劇団で公演している舞台にも出てくれていて。その頃の僕は自分の創作活動で色々と悩みが多い時期で…。役者としての自分の成長や、劇団の運営、脚本を書くことなど、考えないといけないことが盛りだくさんだったんです。そんなとき、小島のアドバイスを、演出に取り入れてみたところ、舞台『12人の怒れる男』が成功して、新しい視点が開けたんです。その頃から、小島は僕のアドバイザーとしてとても頼もしい存在になっていったんです。ありがたいことですね。
堰八アナ:ことし5月に「ジョブキタ北八劇場」がオープン、こけら落とし(※)公演も終えて、ここまでの反響はいかがですか?
納谷さん:思った以上にうまくいった部分、そうじゃない部分がありますね。当初は、劇場が主体となって演劇を創作するのではなく、すでにある作品を外から呼んで上演するというスタイルを想定していました。「ジョブキタ北八劇場」のような、民間が運営する劇場を自立・自走させていくのには、公共劇場とは違い利益を出していかなければならないので、そういった取り組みでお客さんをたくさん呼ばなければと感じていたんです。でも、キャパシティが200ちょっとの小さな劇場で、それを行うにはチケット代の限界もあって、実現するのは難しいということに気づいたんです。外から呼ぶのはお金がかかりますからね。
そこで支配人とも話をして、“外から呼ぶのではなく、自分たちの手で作品を生みだして、ロングラン公演を実現させる”ことができれば、演劇を中心とした劇場として成立させられるのでは、という思いに至りました。
そこで、こけら落としでは過去に僕の劇団でやって、約4,000人というお客さんに見て頂いた「あっちこっち佐藤さん」という作品を、約1か月のロングラン上演をしました。結果的にこれは大成功で、5,000人を超える方々に来てもらうことができました。
小島さん:こけら落としでロングラン公演を成功させて、5年後の未来に向けた1つの可能性を見せることができました。難しいのは、このあと。次にどんなことができるかを示せるかが重要だと思っています。
※こけら落としとは:新たに建てられた劇場で初めて行われる催しのこと