2024.05.01

食べる

【函館】「いつかの母の姿が重なる」どこか懐かしい“家庭の味、心の味”を求めて

おばんざい 村かみ(弁天町)

市電・大町電停から歩いてすぐ。港から流れる潮の香りをかすかに感じる場所に店を開いて16年目を迎えた『おばんざい 村かみ』。カウンターの上の大皿に毎日7品のおばんざいを並べ、家庭料理を中心とした品々は1〜2品を除いてほぼ毎日入れ替わる。

村上さんは青森の南津軽にあった常盤村(現在の藤崎町)出身。子どもの頃は祖母がつくる茶碗蒸しが大好物だったとか。

「ホッケのすり身揚げ」

「店を始めた頃は本を買ってつくったりしてたけど、頭の中で考えてつくるのとたいして変わんないから、次の日につくる料理はもうなんにも見ないで決めてますよ」と店主の村上照子さん。
その81歳の頭の中には、おかずの手札が無限に溢れているに違いない。毎日来る客もいるので、できるだけ前の日と違うものを食べさせたいという気持ちも強い。

料理へのこだわりについて聞くと「こだわりもなにも、こんなの(家庭料理)しかできないから出してるだけですよ」と照れながら多くを語らないが、店を開いて以来一貫して魚は和田鮮魚店から、肉は阿佐利精肉店から仕入れるなど、目利きが選ぶいい食材への目配せは絶対に欠かさない。

取材日のカウンターに並んだのは、「たらこと大根の煮物」や「茄子の揚げびたし」など、心あたたまるような懐かしい味ばかり。そんな母の味・心の味に魅せられた客が、今日も実家に帰るように村かみの暖簾をくぐっていく。

「かつお節とわさびのおくら和え」 ランチは「おかず全品セット」が1,200円、店主おまかせ4品セットが900円と良心的。

【おばんざい 村かみ】
函館市弁天町15-21
0138-26-5144

peeps hakodate

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