2024.02.05

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「乗った記憶はないけれど」亡き父の牛乳配達車 復元の記録

細部までこだわり抜くために探す1964年当時の面影

配達車のK360を背後に、父・重春と2歳ころの内藤重彰さんの姿。1964年頃に撮影されたモノクロ写真だが、北海道新聞社が特別にカラーライズして内藤さんに進呈したもの。

家に残されたわずかな当時の写真と各方面から集めた関連資料を頼りに、車自体のレストアは七飯町の『レストアショップ ミヤカワ』が担当し、最大のポイントとなる荷台の幌は函館市内の業者が制作。
また重春の配達車の幌のサイドには当時取扱メーカー・北海道乳業の略称である「北乳」の文字と、看板商品の「ストロング牛乳」ロゴが刻印されていたが、これも正式に北海道乳業に打診して使用許可とオリジナルデータを得て看板を制作し、同じ箇所に貼り付けるという徹底ぶり。

当時の配達車の全体像がかろうじてわかる貴重な1枚

「でも、私自身は乗せてもらった記憶って実は残ってないんですよ(笑)」内藤さんがここまで復元に向けて邁進できたのは、もしかすると「乗せてもらった記憶がない」ことへの渇望かもしれない。現在K360はバッテリーが取り外され、ガレージの中で冬眠中。雪が溶け、待ち遠しい春が来たら再びバッテリーを積み、函館の町をかわいらしく走りまわる予定だ。
改ページ:SNSで制作過程を発信

フォトギャラリー

車のレストア、幌の骨組み、全体の幌などはそれぞれ専門の熟練職人に制作を発注。制作過程をInstagramで発信し続け、局地的に話題となって完成前の状態をNHKが番組で取り上げた。

重彰さんの長兄の息子(20歳)が、3Dプリンターを使って制作したミニカー。細部にまで徹底しなければ気が済まないのは、どうやら血筋のようだ。

ネットで購入したマツダK360の販売当時のパンフレット。取扱説明書もネットで入手済み。

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