監督の思い 〜短編から長編にしていくにあたって

武蔵野美術大学時代から、ゲイの青年を主人公にした短編映画を自主制作していたという東海林監督。
近年では、キャスティングや脚本、表象文化における「当事者性」にひとつのフォーカスを当てながら、作品発表はもちろん、講演会への登壇など様々な活動をしていらっしゃいます。

他の作品はもちろんのこと、今回の『老ナルキソス』でも、多数の映画祭で様々な賞を受賞。
ご自身もバイセクシャルの当事者であることを公言しながら活躍していらっしゃる、そんな監督とあたしが初めてお会いしたのは、2022年のことでした。

2023年5月、ワールドプレミアとなったロサンゼルス・アジアン・パシフィック映画祭での東海林監督と主演の田村泰二郎さん。こちらの映画祭では、最優秀長編作品賞と審査員特別賞をW受賞。 映画祭での受賞は10以上に上っています。

さっぽろレインボープライドの関連イベントとして、監督の短編作品『片袖の魚』にフォーカスを当てた映画上映会を当時企画。
トークゲストとしてお越しいただき、たくさん貴重なお話をしていただいたのですが、その上映作品4作の中には今回の長編の元となった『老ナルキソス』の短編版(2017年)もありました。

この短編版、配信サイトでも観ることができるのですが、こちらは実は学生時代以来、23年ぶりにLGBTQをテーマとして撮った作品だったんだとか。

東海林監督は当時のことを振り返って、こう語ります。

「20代の頃は、当事者性とは違うところで勝負したいと思っていたんです。当事者が当事者性のあることをやってしまうと、もう逃げ場所が無いんじゃないかって気がしていたから。ですが40を超えたあたりで、やっぱり自分にとって大切なテーマで作品を作りたいと考えたし、そのテーマはやっぱりセクシュアリティに関するところだったんですよ。周囲を見渡した時にも、LGBTQブームとでも言うべき状況ではありながら、たくさん出てくるBL映画やLGBTQに関する映画を見ても、なんだかしっくりこなかった。それもあって、自分の見たいゲイムービー、クィアムービーを自分でちゃんと作ってみたいって思ったんです」

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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