2023.09.30
深めるそんな中、女性は2023年2月、道外に住む夫婦からの相談で重い障がいのある赤ちゃんを直接受け入れました。
その翌月には、今度は道内の若い未婚の妊婦から、病院で出産直後の赤ちゃんを、こちらも直接受け入れました。
しかし、その3ヶ月後。
障がいのある赤ちゃんは、ミルクをうまく飲むことができず、低体重が続いていました。
町の定期健診を受けると「医療ケア」が必要とされ、そのまま入院となりました。
女性は医療機関や行政と連携していません。
道は施設に対し、「不測の事態に対応できない」として、運営の自粛を21回にわたり求めてきました。
しかし、女性は赤ちゃんポストを続けていて、議論は平行線のままです。
赤ちゃんポストに預け入れがあった場合、女性の自宅では必要な医療措置が取れず、 「いのちの危険がある」 と警鐘を鳴らすのは、関西大学の山縣文治教授です。
「児童相談所、当別町、道、警察。少なくともこれが命とか犯罪に関わる重要な判断の場所で、そこの合意が全く取れていない」と問題点を指摘します。
今回入院となった障がいのある赤ちゃんの場合、女性には親権がないため、この赤ちゃんを再び引き取ることができません。
その後、赤ちゃんは児童相談所や医療機関が連携し、引き取り手が見つかったといいます。
このような状況の中、なぜ女性は赤ちゃんポストの取り組みを続けるのでしょう。
女性自身も「自分の赤ちゃんポストのシステムは完璧ではない」と話します。
その上で、「現行法において、どうしても公的機関でできない部分は、民間が勇気をもって取り組む必要性がある」と力をこめます。
9月10日、女性はある場所に向かいました。
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