2022.09.16

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お悩み|大好きな旦那とセックスレスです。「したい」という私の気持ち、どうしたらいい?

は〜いみなさん、ごきげんよう! Sitakke連載「お悩み相談コラム」担当・満島てる子です。

いやぁ9月に入ってからというもの、「てんやわんや」って表現がぴったりの毎日。それというのも、そう!
もうすぐこの札幌市で、LGBTQコミュニティにとって大切な“パレード”というイベント、その名も「さっぽろレインボープライド」が開催されるからなんです!

性的マイノリティの当事者はもちろん、その支援者(アライ)も含めたたくさんの人たちがひとところに集まり、お互いの存在を祝福しあいながら街中を練り歩く“パレード”。ニューヨークで50年前に始まったこの取り組みは、今や全世界のLGBTQを勇気づける一種の祭典となっており、それはこの北海道、そして札幌でも例外ではないように思います。

この「さっぽろレインボープライド」には、実行委員として関わらせてもらって早5年になるの。やだぁ歳喰ったわね〜。
毎年のこととはわかっていながら、本当に直前期はバッタバタ。
しかも今年2022年は9月17日〜18日(土日)と札幌初の2日間開催で、そのせいなのか「アレとコレやらなきゃ!……ぎゃー!ソレ抜けてたの⁈」なんてやり取りを他のメンバーとすることが、例年よりもなんだか余計に多いんじゃないかって思ってます。笑

そんな風に、個人的にはなんだか慌ただしくって、自分の感情とか欲求とか、こころとからだの状態をきちんと振り返るタイミングがないなぁ、なんて反省しながらも駆け抜けているこの昨今なのですが、皆さん最近はいかがお過ごし?

やっぱり、自分が何をどれぐらい求めているのかとか、もっと言えば、自分の大切な人の欲求のありさまとかについて知っておくことって、いろんなエネルギーのバランスを調整しながらそれぞれの生活を成り立たせるために、割と不可欠なことだったりするわよね。

今回は、そんなバランス調整にきっと苦しんでいるんだろうな、という方からお悩み相談が来ていました。見てみましょう。

今回寄せられたお悩み「旦那とセックスレスです。」

「どうしてペンネームがものもらいなの……?今できてるってことかしら……」なんて、相談者さんの眼球事情が気になりながらも、その内容の切実さを「こりゃまずは真剣に受け止めねば」なんて思いながら、こちらのお手紙を読んでいました。めばち子さん、投稿ありがとうございます!

セックスレスかぁ。しんどいわよね。
人の欲求の程度って豊富なグラデーションがあると思いますし、アセクシャル(他者に対して性的欲求を抱かない人のこと)という性的指向も近年知られるようになってきたわけですが……。
とはいえ「この人と生活全般を共にする」と決めたパートナーとのスキンシップ、もっと言えばセックスがあるか無いかについてとなると、「いろんなあり方があっていいよね」という風には片付けられない問題になってきますよね。

「1ヶ月以上パートナーと性交渉がない状態」がセックスレスの定義と言われていますが、日本ではこれに相当するカップルが5割を超えていると、2020年にジェクスが行った調査(https://www.jfpa.or.jp/sexsurvey2020/)では明らかになりました(半分以上ってすごくね?セックスレス大国ね、JAPAN)。

でも、じゃあみんなセックスしたくないのかというと、そうじゃないみたい。
同じ調査の中では「セックスしたいかどうか」についてもアンケートを取っているのですが、男性は8割、20代女性は6割が「セックスしたい気持ちがある」と回答。
そう考えると、その背景は異なっているかもしれないけれど、めばち子さんと同じように「自分はしたいのに」という悩みを抱えている人は、きっと一定数いるんだろうなぁと思います。

しかしセックスって、その話題だってだけで変なハードルができちゃうもの。
「そういうことはプライベートでデリケートなものだから……」という、謎の遠慮が生じがちなために、みんなでお互いの性事情を気軽に相談しあったりすること、なかなか普段無いと思うんです。
きっとめばち子さんも、おいそれと周りの人たちに旦那さんとの性事情、話すとかっていうのはこれまでできなかったんじゃないかな?だからこそ、今回のようなモヤモヤも、割と抱え込んでなかった?

深刻かつポピュラー。にも関わらず、オープンにしにくいこの話題。
相談に乗る側のあたしとしても、今回はどうしても「これは手ごわい……!」と思わざるをえなかったのでした。

あたしなりのAnswer

とはいえ、こちらのお悩み相談コラム。先日も似たようなことを書きましたが、あたしが相談者さんたちと一緒に目指したいのは、「言葉を尽くすことで、世界を書き換えて呪いを解く」こと。どんな口にしずらい話題でも、あえて言語を使ってそこにメスを入れてみることって、きっと大事だと思うのよね。

だから、今回はセックスという呪いに、めばち子さんと共にチャレンジしてみようと思うわ。(やっちまうわよ!)

さてさて。旦那さん、とっても淡白な方なのね〜。
あたしが嫁だったとしても「きぃい!なんで抱かねえのよ!これから夕食イモリの黒焼きのみにしてやるから!」ってなっちゃうかも。
……なんて下手な冗談はさておくとしても、やっぱり夫婦間で性生活に関する考え方のズレが明確にあるのは、決してよろしいとは言えない状況よね。

そしてめばち子さんの、「旦那の気持ちを尊重したい」ながらも「この先の人生にセックスがないことを良しとも出来ない」という葛藤。あたし「とっても正直だし、そりゃ当然よね」と思いながら、あなたの気持ち受け止めさせてもらいました。

本人にズバリそのまま聞いてみたことって、ある?

その上で言いたいの。
ねぇめばち子さん、旦那さんが本当に「したくない」のか、本人にズバリそのまま聞いてみたことって、あったりする?

というのもね。今回のお手紙を読みながら1番気になったのが、めばち子さんがその過程をすっ飛ばして、パートナーの性欲について判断してるんじゃないかなってところだったの。
「最近してないね〜」とジャブ的なフリをしてみたり、こっそりパソコンの履歴見ちゃったり、そこあたしとしては共感の嵐(多分やっちゃうもん)。セルフプレジャーの頻度を訊くのも「なるほど!」と思ったわ。
でもじゃあ、そこから推測できるのって、旦那さんの快楽を求める気持ちが「薄い」ってところまで。果たしてセックスを「欲しくない」とまで言えるかというと、そうではないんじゃないかしら。

さっきも書いたように性という話題って、なぜかフランクに話せるものではないという感覚が、人によってはあったりします。
しかし、相手が人生のパートナーとなれば、そのパンドラの箱もどきをあえて開けて、お互いの正直な気持ちを素直にぶつけ合うことは、時にとても大事。
だからぜひ「本音としては、どうよ?セックスしたい?したくない?」と、旦那さんにストレートに質問してみてほしいんです。

旦那さんがどんな反応をするかは、正直わかりません。
「いやセックス嫌いじゃないよ〜」ってふわっとした返事が来るかもしれませんが、キッパリ「ごめんしたくない」と言われてしまったら、きっと少なからずショックを受けることでしょう。
でもどういった内容であっても、その返答は「じゃああたしはセックスしたいから、こうしてみたいんだけど」と、意見を伝えるための出発点になってくれるはず。話し合いのテーブルにつくことができるというのが大事なんじゃないかと、あたしは思います。

2人で考えて出した答えなら…

「旦那以外とすること」も、2人で考えて出した答えならばそれもいいんじゃないかしら(一切の相談無くこそこそ他の相手とまぐわうのは、パートナーに対して不誠実だからNGだと思いますが、共に同意してのこととなれば、話は別な気がします)。ゲストを呼んで楽しむことやスワッピング、旦那公認の彼氏の存在などだって、性生活の選択肢としてドラマや漫画などで紹介される昨今です。いろんなやりようがあるでしょう。
問題なのは、そうしたセックスの内容ではありません。セックスそのものをパートナーとの間で、より開かれたものにすることが重要なんです。

なかなかそう簡単にはできないことを勧めているかもしれないわね。
でもめばち子さん、まずは一回勇気を出して、怒直球のクエスチョンをぜひ夫に投げてみて。きっとそこから何かが変わってくるはずだから。
そしてその変化の中で、改めて相手のことが「大好き」だということ、「離婚したいだなんて微塵も思わない」ことも、セックスしたいことと合わせて素直に伝えてみてください。新しい夫婦生活がこれまでと同様、その先の未来へと続いていくためにも。

めばち子さんとそのパートナーが素敵で満足のいくセックスライフを送れるよう、これからも画面の向こうから応援しています!

ま・と・め♡

ということで、今回はセックスレスについてつらつらと書かせていただきました。
性的なアイデンティティと同じぐらい性的欲求のあり方も多様だから、きっといろんな人がこのお悩み、抱えたことがあったりするんじゃないかしら。
読者の皆さんの中にも、このコラム読んでなんだか救われたわ、なんて方がいてくれたならとっても嬉しいです!

しっかしこの連載、ときにあたしのことまで救ってくれたりするのよね。
去年の9月に書かせてもらった「さっぽろレインボープライド2021」の告知回、この間パレードの準備の合間に読み返してたら、なんだ無茶苦茶ジーンときちゃったのよ。今年も頑張ろうって気持ちになったわぁ。

2年ぶりに一般参加可能のかたちで開催する、さっぽろレインボープライド2022。少しでも多くの方と、札幌の街を一緒に歩くことができればと思います。みんなぜひ会場に遊びにきてね!

ではでは皆さん、またいずれ。Sitakkeね〜!

***
文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:nabe(Sitakke編集部)
***

満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。)2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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