2022.09.09

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おなかをべったり、「ダレ熊」。かわいすぎる木彫り熊たちを生み出す、異例の若手職人

たくさんの木材や、木で作った棚に囲まれた作業部屋。特製の木のベンチにまたがって、ノミを握るのは、川口直人(かわぐち・なおと)さん。

その手元に、少しずつクマの顔が現れました。しかし、お土産でよく見る木彫り熊とは、違うようです。

おなかをべったり地面につけた、「ダレ熊」です。

それぞれが好きなように楽しむ

川口さんは、木彫り製品の卸売業を営む会社の3代目。Sitakke連携メディアの「スロウ日和」が紹介してくれました。

札幌市中央区の「遊木民(ゆうぼくみん)」という店を、親子で営んでいます。

遊木民。看板上のクマの顔が目印

店には、道内外の職人が作った木彫り製品が並びます。

「木彫り熊」は、大きさもポーズも、彫り方もさまざま。ここ数年、再注目が集まっていて、取材日も若い女性や家族連れなど、幅広い年齢層のお客さんがお気に入りのクマを探しに来ていました。

毛並みや表情が生き生きとした、大きなクマたち。

たけだけしいクマたちのそばで、親指サイズの小さなクマが並んでいました。

川口さんの作品です。その名も「おっちゃんこクマ」。

「おっちゃんこ」は、北海道弁で「座る」という意味に近く、主に子どもに使う言葉。北海道民としては、このクマのおなかがぽっこりした、まるっとしたフォルムと、「おっちゃんこ」という言葉のかわいらしさの、相性の良さがたまりません。

価格は、わずか500円。川口さんは、「安いものを作りたかったんです。木彫り熊って高いイメージがあると思うので、そのイメージを変えたかったというのもあります」と話します。

川口さんの口調には、「職人」という言葉からイメージする厳しさはなく、「好きに楽しんでほしい」と朗らかな笑顔を見せます。

「何か買って帰りたいけど、高いものは決めきれないという人の、逃げ道というか、気軽に買えるものが店にあったらいいかなって」

木材それぞれの色合いを生かした「おっちゃんこクマ」は、並べてもかわいい。

ぴったりのサイズに作られた、小さなカヌーに乗せてもかわいい。

好きな色を、好きに飾って、気軽に楽しめます。

今後の目標は、あえて決めない

川口さんは、30歳になるころに木彫り熊を彫りはじめ、ことしで3年目。「若くて70代」だという木彫り熊職人界では、異例の若手です。

「ダレ熊」や「おっちゃんこクマ」など、これまでの木彫り熊のイメージにとらわれず、新しい可能性を探る川口さん。

ただ、店頭に並ぶほかの職人が作った木彫り熊の良さはスラスラと教えてくれるのに、自分の作品のこだわりを尋ねても、「う~ん…」という反応。

今後の目標も、あえて決めていないといいます。

「いまはかわいい木彫り熊のほうが人気があるけど、変わるかもしれない。『木彫り熊ったら、こういうもんだ!』って決めていたら、置いて行かれちゃいますよね。だから、いい具合に、こだわりは持たずに…でも、上手くはなりたいですね(笑)」

「かわいい」と人気を集めるクマたちを生み出しながらも、自分の実力は「まだまだ」と腕をみがき、時代の変化にも向き合おうとする川口さん。

これからもどんなクマを見せてくれるのか、わくわくしてしまいます。

クマ好きは、ぜひ今月、帯広へ!

川口さんの作品は、「遊木民」のほか、今月は帯広の「SLOW living」でも買うことができます。

「SLOW living」には、Sitakke連携メディアの「スロウ日和」が取材で出会った道内の逸品がそろっていて、今月はなんと、「熊フェア」を開催中。

中には、川口さんの特別作品、ブランコに乗ったクマも!
9月10日(土)、11日(日)には、川口さんも帯広を訪れ、実演販売を行うといいます。

ほかにも、かわいいクマ作品が勢ぞろい…。

そのそれぞれに、ストーリーがあります。

ゆるっと個性的なキーホルダーを作る、幕別町の革職人について、そして川口さんについて、「スロウ日和」の目線で書いた記事も、ぜひご覧ください。

遊木民

・札幌市中央区北7条西19丁目-1
・9月は「SLOW living」にも出品。10日(土)、11日(日)は実演販売も

SLOW living

・帯広市西16条北1丁目26-1
・9月は「熊フェア」開催中

文:Sitakke編集部IKU

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北海道の女性たちの明日につながる“きっかけ”を届けるWEBマガジン『Sitakke』と連動して、道内各地で根付くパートナーメディアの編集者や様々なゲストを交え、北海道各地で親しまれ愛される、ローカルな人、モノ、場所をお届けします!

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