2022.07.22

育む

「書くって難しい。それでも、」アナウンサーである私がコラムを書き続ける理由。

子どもだけでなく大人も楽しめる絵本を、絵本セラピスト協会認定「大人に絵本ひろめ隊員」であるHBCアナウンサーの堰八紗也佳(せきはち さやか)がご紹介します。

連載コラムを掲載している「Sitakke」がこの7月で1周年を迎えました!「連載コラム・今月の絵本通信」もスタートから約1周年ということで、今回はこの連載を通してお伝えたい“絵本の魅力”について想いをあらためて書いてみます。

わたしと絵本との出会い

2009年にHBCアナウンサーとして入社して以来、仕事で「絵本の読み聞かせ」をする機会はたびたびありましたが、本当の“絵本の魅力”に気づき、もっと絵本のことを学びたいと思うようになったのは“子どもが生まれたこと”がきっかけでした。

2018年に長男が誕生し、出産祝いに知人や友人から絵本を貰うことが多くあったのです。
(『おばけのマ~ル』)から始まり、赤ちゃんの周りにはおもちゃより、絵本がたくさん!

その中でも、HBCアナウンサーの大先輩である河原多恵子(かわはら・たえこ)さんからいただいた絵本が深く印象に残っています。なぜなら、知育絵本や赤ちゃん向けの絵本ではなく、明らかに “大人向け” の絵本だったからです。

河原さんから贈られた2冊の絵本 『ぼく、うまれるよ』作:駒形克己 出版社: ONE STROKE/『おなじそらのしたで』作・絵:ブリッタ・テッケントラップ 訳:木坂 涼 出版社:ひさかたチャイルド

絵本は“絵”が主役。美しい絵に、短いけれど胸に刺さる素敵な言葉が添えられていて、ページをめくるたび、心のコリが少しずつほぐれていくようなあたたかい感情に包まれました。

このとき初めて、 “絵本は子どものためだけにあるものではない” と気づいたのです。
河原さんが絵本を選んだ場所は絵本専門店 『ちいさなえほんや ひだまり』 ということで、すぐに足を運びました。

店主の青田正徳(あおた・まさのり)さんは、厳選して置いている2500冊の絵本すべてに思い入れがあり、どこに何が置いてあるのか・どんな内容なのか・どんなメッセージが込められているのか、全て頭に入っていると話します。

絵本専門店 (『ちいさなえほんや ひだまり』の店主・青田正徳(あおた・まさのり)さん

友人への出産祝いにと、1年間、毎月1冊ずつ、青田さんおすすめの絵本を届けてもらうよう注文する人も多いそうです。
『ひだまり』に行けば、絵本が好きな他のお客さんとの会話も自然に生まれます。

そこで知り合った絵本セラピストで絵本専門士の森景子(もり・けいこ)さんも、私に多大な影響を与えてくれました。絵本に関わる人は、私の知っている限り、皆さん穏やかで、人の心に寄り添える優しさがあり、絵本からもらった力で人生をより豊かなものにしていると感じます。

そんな皆さんに心惹かれ、私自身も「絵本セラピスト協会」が認定する 「大人に絵本ひろめ隊」 の一員になりました。今は、こうして記事を書いたり、小学校で読み聞かせをしたり、朗読会を開催したりして、絵本と関わりつづけています。
『ちいさなえほんや ひだまり』のことが気になったあなたは、 『「今月の絵本通信Vol.2』をぜひ読んでみてくださいね。

札幌市内の小学校での絵本読み聞かせのようす。

絵本に対する感想は十人十色。どんな意見が出ても間違いがなく、受け入れられる世界です。
社会の中では、自分の意見を否定されるのが怖く、“共感”を得ることで自分の存在意義を感じている人が大半なのではないでしょうか。

しかし、絵本の世界では、思ったことを素直に絵や文章で表現することができ、また、わたしたちはその表現に自由に触れ、共有することができます。

翻訳さえすれば、絵本ひとつで世界中どこでも、平和の大切さを訴えることも、感謝の気持ちを伝えることもできるアイテムだと感じています。

「絵本」は、平和の象徴であり、平等を実現するものであり、SDGsの目標のひとつである 「4.質の高い教育をみんなに」 に繋がる大切な存在なのではないでしょうか。

絵本が持つ‟パワー”をより多くの人へ。

もっと多くの人に絵本が持つ“パワー”を伝えてきたい…そんな想いをもって、この連載コラムを執筆しています。

絵本にそれほど興味のない人にもどうしたら「読んでみようかな」と思ってもらえるか、タイトルや見出しで、さまざまな人の心に留まるような言葉選びを心がけていますが……この1年、実際にコラムを続けてみて、感じたことは「書くって難しい」ということ。

毎月1つの記事を書き上げるのがやっとです。育児時短勤務を利用して働いているので、昼食は片手で食べられる簡単なもので済ませ、短時間の勤務でも濃い中身にできるよう、集中して記事を書いています。

「今月の絵本通信Vol.11」より。子どもと一緒に絵本の世界を再現する遊びなども子どもと楽しんでいます。

WEBの記事は、テレビやラジオの放送と違い、半永久的に残るものなので、“賞味期限のない記事”を心がけています。いつ・どこで・誰に読まれても“鮮度”が落ちていないように、内容や時制に気を付けています。

この連載コラムや、絵本の読み聞かせ活動を通し、あらたにチャレンジしたい”夢” ができました。それは、絵本専門士になることです。
絵本専門士とは、絵本に関する高度な知識・技術・感性を備えた絵本の専門家のことです。
以前、絵本専門士委員会の副委員長であるノンフィクション作家・柳田邦男さんによる講演会が札幌で開催され、「これは貴重な機会だ!」と聴きにいきました。

柳田さんは20年以上前から“大人にも絵本を推奨する活動”をされています。柳田先生は「絵本」によって弟の死を乗り越え成長していった一人の少女ついてもお話ししてくださりました。その話を聴いて、「絵本で生きる勇気をもらった」とか「絵本のおかげでここまで生きてこられた」という話が現実的にある話だということを知り、大きな感銘を受けました。

「絵本専門士」は私の憧れの存在ですが、北海道にはまだ7人しかいません!(令和2年2月19日現在)。それだけ取得するのが難しい資格ということですが、専門的な知識を身に着けて、絵本の魅力をひとりでも多くの人に伝えていければ、と思っています。

***
今回は、祝「Sitakke」1周年ということで、連載コラムを通してお伝えたい“絵本の魅力”についてあらためて想いを馳せてみました。連載も2年目に突入するということで、これからも絵本がもつ“パワー”を、より多くの人にお届けできるよう、さまざまな活動にチャレンジしていこうと思っています。これからも、よろしくお願いします!

Sitakke1周年を記念したコラムは「てる子のお悩み相談ルーム」でも、満島てる子さんによる特別版を公開していますので、そちらもぜひチェックしてみてくださいね♪

〈参考〉
絵本専門士 | 独立行政法人 国立青少年教育振興機構 (https://www.niye.go.jp/)

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「連載コラム・今月の絵本通信」
文|HBCアナウンサー 堰八紗也佳
Instagramも更新中! @hbc_sekihachisayaka
編集|nabe(Sitakke編集部)

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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