2022.05.13

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このベンチ、実は「壊れて使えなくなったイス」のリメイクなんです!家具で縁を紡ぐ、遠軽町の木工作家

もう使えないけれど、捨てるのはもったいない…

気に入って大切に使ってきた家具こそ、古くなっても手放せない…ということ、ないでしょうか。

こちらは、50年ほど愛用されたイス。傷がつき、座面がはがれてしまっています。さらに脚がゆるんでしまい、もう座れなくなってしまったといいます。背もたれがはずれてしまっているものもありました。

こうした家具に、もう一度命を吹き込む木工作家が、遠軽町にいます。

長瀬義幸さん。アンティーク家具や雑貨の店「nan ca deal(ナンカデイル)」を営んでいます。

特色は、仕入れたアンティーク品だけでなく、自ら手がけた「リメイク家具」も扱っていること。

一見、古くなったイスも、布を張り替えれば、一気におしゃれに。

でも、すべて変えてしまうのではなく、色合いなど、元の良さも生かします。布を張っているボタンなどの細かい装飾にもこだわっていて、手作りならではの工夫が楽しい品々です。

こちらの踏み台は、用途も変えます。

ノートがちょうど入る、本棚に変身!小さな引き出しもついているので、筆記用具も一緒に収納できます。

木材は不足しているのに、捨てられる家具がある…

長瀬さんがリメイク家具に取り組み始めたきっかけは、ある矛盾に気づいたからでした。

いま世界では、木材が不足して価格が高騰する「ウッドショック」が起こっています。一方で、「もう使えない」と捨てられている家具が、たくさんあります。

長瀬さんは、そんな家具を「貴重な木材資源」として見直し、新しい姿に蘇らせているのです。

先ほどのイスたちも、うち一脚の背もたれがないことを、逆に生かすことにしたようです。

「今まで大事に使っていた家具ですので、その想いを消さないようにというのと、家具本来の良さを引き出すように修復しようと思っています」と話す長瀬さん。手作業で丁寧に分解していきます。

分解した部品はひとつひとつ押しながら、「イスは体を預けるものなので、悪くなっている部分は使わない」と、丈夫さも確かめていきます。

そして、出来上がったのは…昭和レトロなベンチ。

木の元の色合いをそのまま生かし、座面はカラフルに。

背もたれの傷も、削ったり、木を付け足したりして、ツヤツヤになっています。

足をのばして、くつろぐのにぴったり。

長瀬さんは、リメイク家具を通して、「ブーム」ではなく「文化」を創りたいといいます。
「遠軽町は昔から縁があるマチといわれています。ここに集まった家具が、縁結び、橋渡し役として新しい人に渡ったらいいと思っています」

マチの中で、ものを大切に使い、また資源として循環させていく…。家具が変身する一時の感動だけではなく、「ものを大切にする文化」が地域に根付き、長く長く続いていくのが、理想の形です。

あなたの身の回りにあるものも、古くなると使えないのか、貴重な「資源」として再利用できるのか…。見方を変えてみてはいかがでしょうか。

***
nan ca deal(ナンカデイル)(動画
・遠軽町生田原水穂251
・不定休
・詳細は店舗インスタグラム@nan_ca_deal

文:Sitakke編集部IKU

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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