2021.09.30
育む今回は「子どもに読む絵本をどうやって選んだらいいのかわからない」という方におすすめしたい、ご自宅に絵本が無償で届くサービスをご紹介します。
『生活協同組合コープさっぽろ』が行っている「子育て支援」の取り組みのひとつ、『えほんがトドック』。
コープさっぽろの組合員世帯であれば、1~2才のお子さん(またはお孫さん)に、計4冊の絵本をプレゼントするという取り組みで、全道どこでも届けてもらえるというもの。2010年からスタートし、今年で12年目になりました。
「ずっと親子のたからもの」を合言葉に贈られる絵本は、2才の息子がいる筆者の家庭でも親子のふれあいのきっかけになっています。
『えほんがトドック』の絵本選びには7名の絵本専門委員が関わっていて、絵本専門店の店主や子育て支援に係る専門家たちが選んだ絵本がラインナップされています。選考専門委員 委員長であり北海道教育大学 教育学部札幌校の今尚之(こんなおゆき)さんは、「絵本を通した温かい時間を親子や家族で共に過ごすということが、感性が豊かで思いやりをもった子どもを育てると考えている。」と話します。
絵本のラインナップは毎年変わるそうですが、筆者の家庭に届いたのはこちらの4冊でした。
・1冊目『もじもじこぶくん』(福音館書店)作:きくちちき
・2冊目『パパおふろ』(文渓堂)作:きくちちき
・3冊目『しろとくろ』(講談社)作:きくちちき
・4冊目『ふうしてあそぼ』(エンブックス)作:はるのまい
絵本は普通に郵送されるのではなく、“人の手から手へ”渡すことにこだわって直接担当者が届けているそう。
今年8月に届いた『ふうしてあそぼ』は、親子でスキンシップしながら読める体感型絵本です。親子で「ふう」しながらページをめくれば、風船が膨らんだりラッパが鳴ったりと、色々なモチーフの変化を楽しめます。
絵本には、毎回小さなガイドブックも同封されていて、作者さんへのインタビューや、読み聞かせのポイントが掲載されています。これは保護者にとって嬉しい特典です。絵本が入っていた外箱も、切り貼りすれば冠になるなど、遊び道具として使える工夫がしてあることにも、細やかな配慮が感じられます。
気になるのは、絵本の購入費をどこから捻出しているのかということ。
驚くことに、この子育て支援基金は資源回収から成り立っています。『コープさっぽろ』の宅配や店舗などで回収したペットボトルや段ボールや食品トレイなどの資源物を、江別にある『コープさっぽろ』のエコセンターで、再利用できる形に加工して、業者に販売。
その収益を子育て支援に活用しているのだそう。自分がリサイクルに出している資源物が、もしかしたら子供たちの笑顔に変わっているかもしれませんね。
コープさっぽろ子育て支援担当の米澤優香(よねざわ・ゆか)さんに取材のご協力をいただき、絵本が届いたご家庭からの声を聞かせていただきました。
「絵本に全く興味を示さない娘だったので絵本を買う気になれなかったけれど、無料でもらえたので色んな絵本を知ることができたし、今では貰った絵本を“読んで読んで”と嬉しそうに持ってきて、頼んで良かったと思っています。」
「子育てで疲れている毎日の中、ちょっとしたプレゼントはとても嬉しいしありがたい。」「届くたびに姉妹で読み聞かせしている姿を見て、いつも嬉しく思いました。」
といった喜びの声が。また、感想とともにこんな可愛らしい写真も寄せられています。
歳の近い兄弟で読み聞かせをしている姿は微笑ましいですね。
絵本は膨大な数があるので「どうやって選んだらいいのかわからない」という声をよく耳にしますが、
『えほんがトドック』では自分では選ばないような絵本との出会いがあるのも魅力です。
『コープさっぽろ』は『えほんがトドック』の他にも『ファーストチャイルドボックス』、YouTubeチャンネルでの絵本の読み聞かせ、子育てひろばの開設など、「子育て支援」が驚くほど充実しています。興味のある方は『コープさっぽろ』のホームページをご覧下さい。
秋の夜長、絵本を通してゆっくりとした時間を親子で過ごしてみませんか?
【参考情報】
※ファーストチャイルドボックス…フィンランドで実施されているベビーケアアイテムやベビー服など子育てに欠かせないものを配布する「母親手当」の取り組みを北海道で実現したもの。
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文|HBCアナウンサー 堰八紗也佳
HBCラジオ アフタービート では絵本セラピスト協会が認定する「大人に絵本ひろめ隊」の隊員でもあるHBCアナウンサーの堰八紗也佳が、毎月最終木曜日の放送で絵本の情報をお届けしています。ぜひラジオもお聴きください。