2024.04.25

育む

手のひらサイズの「葉っぱ切り絵」で紡ぐ癒しのストーリー!まねっこが得意なカメレオンくんの冒険物語に引き込まれて

子どもだけでなく大人も楽しめる絵本を、絵本セラピスト協会認定「大人に絵本ひろめ隊員」、そして2児の母でもある、HBCアナウンサーの堰八紗也佳(せきはち・さやか)がご紹介します。

“葉っぱ”という小さなキャンバスに、無限のストーリーを生み出す作家がいます。

自身の発達障害を強みに変え、ありそうでなかった 葉っぱ切り絵 の道を切り開いた リトさん

リトさんが生み出す葉っぱ切り絵をひとつの物語で繋いだ絵本 『まねっこカメレオン』 をご紹介します。

ページをめくるたびに、癒しの世界が待っていますよ!

大人になってからわかった「ADHD」 集中力を生かして創作の世界に

今や世界が注目する 葉っぱ切り絵アーティスト 、リトさん。

SNSのフォロワーは、なんと53.4万人!(2024年4月時点)。

1986年生まれのリトさんは、会社員時代を経て、自身のADHD(注意欠如・多動症)が判明。

その偏った“集中力”や“こだわり”を前向きに生かすため、創作活動を開始しました。

ボールペン画・スクラッチアート・粘土細工など、“細かい技術力”を活かせるアートにどんどん挑戦。

そんななかで、2020年から 葉っぱ切り絵 をスタートしました。

お金がない生活を続けていた当時、ナイフ1本と葉っぱさえあればできるのが魅力でした。

これがSNSでいわゆる“バズリ”を起こし、「自分のやっていることは間違いじゃなかった!」と自信がついたリトさん。

本格的に葉っぱ切り絵アーティストの道を突き進むことになります。

リトさんの作業場再現(優しい森の仲間たち展in SAPPOROより)

独学だったため、初期の頃は葉っぱを保存する方法も知らず、作品の現物が残っていないのだとか…!

試行錯誤の末ようやくたどり着いたのが、葉っぱ切り絵の世界だったのですね。

『まねっこカメレオン』(講談社) 作・リト@葉っぱ切り絵

リトさんの葉っぱ切り絵には、擬人化した動物たちが登場し、仲間同士の助け合い・思いやり・あたたかい暮らしなどが表現されています。

特にリトさんはカメレオンが大好き!

この絵本は、カメレオンくんが繰り広げる冒険物語で、葉っぱ切り絵の写真に物語を加えた “初のストーリー絵本” となっています。

ひと作品ごとに完結する葉っぱ切り絵を、繋げてストーリー化したものです。

一般的にカメレオンは、色を変化させることで相手のまねっこ(擬態)をすると言われていますよね。

しかし葉っぱ切り絵では、“色”を表現することができません。

そこで、葉っぱのカメレオンくんは、冒険の途中で出会うものたちに、からだの模様で“まねっこ”していきます。

例えば、「メロン」のまねっこ!

あみあみ模様が、繊細に表現されていますね。よく見ると、カメレオンくんの頭頂部も、メロンのヘタになっていて可愛い!

こちらはハロウィーンパーティーに飛び入り参加して「コウモリ」のまねっこ!

カメレオンのしっぽが、わずかな点で全て繋がっているのがわかりますか?!
よくちぎれずに繋がっていますよね……!

しかも、大きな葉っぱではなく、手のひらサイズの葉っぱだから驚きです。

朝から“まねっこの冒険”をしてちょっと疲れたカメレオンくんは、楽しかったことを振り返りながら、おやすみの時間。

からだの模様が、1日の思い出を表しています。

見れば見るほど発見があって、味わい深いのが魅力です。

「すごい!どうやって作っているの?!」

さまざまな興味と疑問が湧いてきた私は、リトさんの展覧会へ。

そして、リトさんご本人にお会いすることができました!

質感や繊細さを「生」で感じて!実物を見られる展覧会が札幌で

大丸札幌店では、「リト@葉っぱ切り絵 優しい森の仲間たち展in SAPPORO」を開催しています。

『優しい森の仲間たち展』では、約130点の作品を展示。

1日の時の流れや、季節の移り変わりを五感で感じながら、ゆっくり作品を眺められる演出になっています。

一番の注目作品は、今回の札幌開催のためにつくったという、こちら!

タイトル『大きな冬の思い出が、またひとつ出来ました』

真っ白な雪だるまを表現するために、中をくりぬいて、輪郭だけを残しているところがポイント!

こうすることで、色の表現ができない葉っぱでも、背景に白を当てれば、雪だるまらしさがしっかり感じられます。

切り絵は、ひとつひとつまず紙にスケッチをすることから始まります。

そのスケッチを葉っぱの裏にもう一度描き、切っていく……。

これを1~2日に1枚のペースで完成させ、SNSに投稿しています。

リトさんの展覧会は、写真も動画も撮影OK。

しかし、実物を見れば、葉っぱの質感や繊細さが伝わり、写真で見たときの衝撃をさらに上回りますよ。

焚火を囲んで動物たちと一緒にパーティーに参加している気分を味わえる空間も!癒される!

動物たちの会話や、風で草が揺れる「サワサワ~」という音までが聞こえてきそう!

葉っぱ切り絵の一枚一枚に物語があり、そのストーリーは、見る人それぞれの解釈でどこまでも広がっていきます。

そして、私が何よりも癒されたのは、リトさんの笑顔と、あたたかい人柄です。

会場内をじっくり見つめ、設営など関わっている全ての人に感謝している姿も、とても印象に残りました。

あたたかい動物たちの葉っぱ切り絵が生まれるのにも納得。

リトさん自身の優しさが、最終的に作品に命を吹き込んでいるのです。

リトさんの目標は、海外で展覧会を開催すること

夢ではなく“目標”という言葉どおり、かなり近い将来実現しそうですよね。

今回はリトさんの葉っぱ切り絵から生まれた絵本『まねっこカメレオン』をご紹介しました。

この絵本をはじめ、グッズ約80点は展覧会の売り場で購入することができます。

【参考】
『リト@葉っぱ切り絵 優しい森の仲間たち展in SAPPORO』
会期:2024年4月18日(木)~5月5日(日・祝)
場所:大丸札幌店7階ホール
時間:午前10時~午後6時30分(午後7時閉場)
入場料:一般・大学生1200円、高校生1000円、小中学生800円 ※未就学児は入場無料

【取材協力】
大丸札幌店
株式会社ドリームスタジオ
講談社エディトリアル

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「連載コラム・今月の絵本通信」
文|HBCアナウンサー 堰八紗也佳
Instagramも更新中!

編集:Sitakke編集部あい

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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