「天気を味方にすると、暮らしはもっと快適になる!」をテーマに、
毎日の生活に役立つお天気情報の”見方”を気象予報士がお伝えします。
北海道の短い夏を安心安全に楽しもう!
今回は、命にも関わる見えない海の危険についてお伝えします。
北海道も海水浴シーズンになりましたが
離岸流(りがんりゅう)という海水の流れには要注意です。
浮き輪を使って海で泳いでいたら、
知らず知らずのうちに沖へ流されたという経験がある方はいませんか?
その原因は、離岸流だったかもしれません。
離岸流とは、簡単に言うと「岸から沖へ向かう強い潮の流れ」のことです。
見た目だけではわかりません。
波は海岸に打ち寄せますが、
その一方で海の中では必ず沖へ戻る流れも存在します。
ですから、離岸流というのは決して珍しいもの、特別なものでもなく、
どこの海にでも発生していると思ってください。
特に、地形的に水が集まりやすい所だとその流れが速くて、
秒速2メートル(1分で120メートル)くらいになることもあります。
沖へ向かう強い離岸流の中に入ってしまったら、
流れに逆らって海岸のほうへ泳ぐのは、水泳選手でも困難ということです。
では、もし離岸流に入ってしまったら、どうするべきなのか?
まずは、パニックにならないことが大切です。
なるべく慌てずに、周りに人がいる場合は、流されていることを知らせましょう。
次にすることは、離岸流の流れに対して、垂直の方向に泳ぐ、つまり海岸に対して平行に泳ぐようにしてください。
その理由は、離岸流の横幅が10メートルから30メートルとそれほど広くないためで、海岸に平行に泳ぐことで沖へ向かう流れから脱出することができます。
また、泳ぎがあまり得意ではない方は、無理に泳いで体力を消耗させず、プカプカ浮くことに専念してください。
離岸流は岸から離れるとスピードが落ちていきます。
沖への流れの距離は、数十メートルから数百メートルに及ぶそうですが、沖に向かう流れを感じなくなったら、岸に向かって泳ぐか、その場で救助を待つようにしてください。
道内でも毎年、遊泳禁止エリアでの事故が絶えません。
穏やかに見えても、強い離岸流が発生しやすい、深みがあるなど、目に見えない危険が理由で、禁止エリアに指定されていることが多いので、海水浴をする場合は、監視員やライフセーバーが常駐する海水浴場を利用しましょう。
山・川・海でのレジャー、安全に楽しみましょう。もちろんお出かけ前には天気予報の確認をお忘れなく。
文・HBCウェザーセンター 提供