2023.04.15

深める

冷たい海でも、命を守る…「ドライスーツ」効果を検証。知床の事故を繰り返さないために

2022年4月、知床半島沖で起きた観光船沈没事故を教訓に、水難学会が行なった、冷たい水から身を守るドライスーツの実証実験の結果が公表されました。

連載「じぶんごとニュース

胸などにセットしたのは、温度を計測するセンサー。
そして最後に着用するのはドライスーツです。

2月、宮城県で行われたこの実証実験は、冷たい海で事故が起きた際の救助の可能性を探るために水難学会が行ったものです。

2022年4月、観光船が沈没し、20人が死亡、6人が行方不明となった知床半島沖の、当時の海水温は、およそ3度。
海水に浸かった乗客・乗員は、短時間で体温を奪われ、意識を失ってしまったと考えられています。

水難学会の斎藤秀俊会長は、「今のところ対策としては、救命胴衣の着装というところにとどまっておりますので、いわゆる体の冷え、低体温症に対する何らかの対策については法令でも決まっていない」と話します。

2月の実証実験では、厚さの異なる3種類の衣服の上に防水性のドライスーツを着て、15分間、水温0.5度のプールに浮かび体温の変化を調べました。

「冷たい?痛み感じる?」
「つま先がしびれるような感覚」

実験の結果、ダウンジャケットの上にドライスーツを着た人は、上半身の体温が30度前後で保たれ、ドライスーツに保温効果が期待できることがわかりました。

斎藤会長は、「救助が来るまで生きていることができる水温は17度。17度よりも水温の低いところでは、ドライスーツを着装するというのがこれから理想の形になってくるのではないか」と話していました。

水難学会では、2024年をめどに、ドライスーツで体温が1時間以上保てることを証明したうえで、簡易型ドライスーツの開発に取り組みたいと話しています。

なお、事故があった斜里町のウトロを拠点とする小型観光船の運航会社3社は、4月28日から今年の営業を始めます。

連載「じぶんごとニュース

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は放送時(2023年3月29日)の情報に基づきます。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

この記事のキーワードはこちら

SNSでシェアする

  • twitter
  • facebook
  • line

編集部ひと押し

あなたへおすすめ

エリアで記事を探す

FOLLOW US

  • twitter