2023.01.30

暮らす

流氷を観に行きませんか?旅行の計画の参考になる、今シーズンの見通し【お天気コラム】

「天気を味方にすると、暮らしはもっと快適になる!」をテーマに、
毎日の生活に役立つお天気情報の”見方”を気象予報士がお伝えします。

強い寒気や低気圧の影響で、道内は厳しい寒さと大雪・吹雪が続いています。ただ、北風に乗って冬の風物詩である流氷は順調に南下をしています。
今回は知っているようで知らない流氷の情報今シーズンの見通しを解説します。ぜひ、流氷観光の計画にも役立ててみてくださいね。

この冬の流氷の傾向について

一年で一番寒いこの時期は、各地で雪や氷のイベントが開催されます。その中でも天候に大きく左右され、計画を立てるのが難しいのは「流氷観光」ではないでしょうか。

今シーズンの流氷の面積は(1月27日現在)平年より少し小さめですが、南下のペースは順調です。最新の流氷の長期予報によると陸地への接岸時期は、平年並みの2月上旬になりそうです。

「流氷初日」と「流氷接岸初日」の違いとは?

PIXTA

さて、気象台では現在、「流氷初日」と「流氷接岸初日」の観測を行っていますが、それぞれの違いは分かりますか?

陸地(気象台)から流氷が肉眼で見えた最初の日を「流氷初日」、
流氷が接岸して沿岸水路が無くなり、船舶が航行できなくなった最初の日を「流氷接岸初日」といいます。

流氷初日の平年は、網走で1月22日、紋別は1月24日です。流氷接岸初日の平年は、網走で2月4日、紋別は2月8日です。今シーズン(1月27日現在)はまだ流氷初日は観測されていませんが、網走市の海岸から20~40キロメートル、知床半島の海岸から10~20キロメートルにあります。
2月にかけても冬型の気圧配置が強まり、気温は平年より低めの傾向になるため、一気に近づいてくるかもしれません。

一般的に、一年で一番気温が低くなるのは、1月中旬から2月の頭にかけて(1/20の「大寒」の前後)ですが、オホーツク海側では流氷がやってくると海が氷の大地と化すため、流氷に覆われる1月下旬から2月半ばが一年で最も寒く、他の地域と少しズレが生じます。

網走や紋別の2月上旬の最高気温の平年は-3度くらい、最低気温の平年は-10度くらいです。言うまでもないですが、観光には万全な防寒対策をしてくださいね。

「アザラシ」(作:児玉予報士)

また、流氷は風や気温に大きく左右されます。風向きによって近づいたり遠ざかったりと位置が変わり、気温が高ければ陸地まで近づいてきた流氷がとけて、面積が小さくなることもあります。

気象庁では流氷に関するさまざまな情報を出しています。HBCの天気予報に加えて、これらの情報もお出かけの参考になるので、ぜひ見て下さい。ただ、お出かけの計画を立てるとき、計画そのものが流氷のように流されることのない強い意志が必要ですよ(笑)

地球温暖化の影響で、オホーツク海の流氷の規模は少しずつ小さくなってきていて、昨シーズンは統計史上2番目に小さくなりました。冬の風物詩である流氷が珍しいものにならないよう、日々の生活でも省エネを心がけ、温室効果ガスであるCO2の削減に貢献したいですね。

※記事内容は、2023年1月30日現在の情報に基づきます。

***

文・イラスト:HBCウェザーセンター・気象予報士 児玉晃

児玉晃予報士が所属する気象予報士クリエイター集団「サキドリーズ」が運用するYouTubeチャンネルてんきよほうでは、日本全国の天気や季節の話題をわかりやすくお伝えしています。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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