2022.10.04

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「命を長らえる=幸せではない」殺処分は減っても、残るペット問題…新たな策とは

家族の一員として飼われているイヌやネコは全国で1600万匹以上。

ただ、人間の身勝手で住処がなくなるペットが、今も後を絶ちません。

そんなペットたちを引き取り、管理する役目を担うのが「動物愛護管理センター」ですが…

実は、全国47都道府県で唯一、北海道だけ設置されていません。

その背景は?

連載「じぶんごとニュース

札幌市の動物管理センター福移支所です。

常時6匹ほどの犬、30匹ほどの猫が、新しい飼い主との出会いを待っています。

中には、何度も吠える犬も。

札幌市動物管理センターの石橋佑規指導係長は、「鳴いたりうなったりというのは、人と暮らすにあたってのルールを学ぶことができずにここに来ているということ。もっといい子に育ててもらえていたら、いい飼い主にもらってもらえたかもしれないのに」と話します。

札幌市では12年前・1854件あった犬と猫の殺処分ですが、飼育への意識の高まりや、避妊去勢手術の浸透もあり、今はほとんど行っていません。

殺処分を行っていた場所も今や物置状態に。

ただ、新たな問題も起きています。

石橋指導係長は、「殺処分をなるべくしないで済ませたい、そうすると譲渡、だれかにもらってもらわなければいけない。来歴さまざま・性格さまざまなので、家庭で飼うことにフィットする子たちばかりではない。収容の長期化も大きな問題になる」と話します。

「命は長らえているけど、命を長らえている=動物にとって幸せな事では決してないですね」

一方で、同じ道内でも場所が違えば、まったく違う課題が浮かび上がります。

視聴者撮影

今道東では、シカを襲う野犬の出没が、地域の大きな課題となっています。

北海道・自然環境局自然環境課の田辺寛樹主幹は、「地方は野良犬の課題がある。外飼いの動物に関する適正飼養の指導が必要になってくる。同じエサを(野良犬が)食べに来るなどして増えてしまうのがひとつの要因なのかなと」と指摘します。

外飼いのイヌとの繁殖で、知らないうちに野良犬が増えてしまう危険もあります。

地域によって動物愛護の抱える課題が違うのに加え、引き取った動物の収容場所を一か所にまとめてしまうと、北海道では、動物の輸送や、次の飼い主が引き取る「譲渡」にも苦労することに。

これまで全国で唯一北海道に「動物愛護管理センター」が置かれてこなかった背景です。

田辺主幹は、「14の振興局と40か所の保健所支所で、役割分担しながらセンター業務を行ってきた」と説明します。

殺処分を避けるために、長く収容できる場所をどう確保していくのか?

道では1つのセンターを置くのではなく、今ある地域の施設を生かしながら、連携を強めて、長期収容に対応する運用を来年度にも始める考えです。

スタートに向けて現在、十勝で活動する動物愛護団体に委託し、道東地方での実証事業を始めています。音更町にある「ティアハイム十勝」です。

先月までに実証事業で引き取ったのは、イヌが7匹、ネコが10匹。

中には標茶町からおよそ160キロ運ばれてきた個体もいます。

北海道・自然環境局自然環境課の田辺主幹は、「道東は対象区域が根室から帯広と広範囲。動物福祉に沿って円滑に長距離輸送できることが確認することが重要なポイント」と話します。

一方札幌市では、来月にも新しい施設の建設が始まります。

新川通沿いのバス停。このすぐ前に広がる土地に、施設が立てられます。市民が訪れやすい立地です。

円形で木のぬくもりが感じられる施設は、100人以上が入れるホールが特徴で、正しいペットの飼い方についての講義などを行う予定です。

イメージ図

札幌市動物管理センターの石橋指導係長は、「収容頭数が今より倍くらいになるので、それが埋まらないことを祈る」といいます。

「できることなら、動物管理センターという場所が犬猫を引き取ってもらったり、犬猫を処分したりするという場ではなくて、ペットについて学んだり、新しい家族を迎え入れる場、よりポジティブな受け止めをしてもらえたら」と話していました。

連載「じぶんごとニュース

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2022年9月22日)の情報に基づきます。

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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