2022.09.18

食べる

新たな函館名物に!捨てられるイワシで「アンチョビ」づくりに挑戦

函館名物といえば、「イカ」。
しかし、ここ10年近く、不漁が続いています。

一方で、漁獲量が急増し、新たな名物に名乗りを上げる魚が!
それが「マイワシ」。

価格の安い大衆魚ですが、これに付加価値をつけ、新名物づくりに挑戦する人たちを追いました。

***

今、函館周辺の海で、水揚げが増えているマイワシ。
函館を含む渡島では、2019年に2800トンだった漁獲量は、速報値で去年、8倍近い2万2000トンにまで増加しました。

しかし、漁師にとって喜ばしいことではありません。

漁師の熊木祥哲さんは「実際、大森の漁師とかは売れないからリリースしています。海に。」
「買う人がセリで手をあげてくれないから、もうがく然とするというか…」
と明かします。

突然、大量に網にかかることが多い一方で、傷みが早いイワシ。
売れずに、仕方なく廃棄処分することもあったと言います。

そんな漁師泣かせの「イワシ」で町おこしをしようと、料理人や水産加工会社などが立ち上がりました。

カギは、「アンチョビ」です。

イタリア料理などに使われる食材、アンチョビ。
一般的には「カタクチイワシ」を塩漬けにしたものです。
中でも高級とされるものは、脂がのったイワシを使います。

ということは、函館近郊で獲れる、脂がのった「マイワシ」ならば、おいしいものができるのではないか?
漁師、水産加工会社、シェフなどが集まり、函館産マイワシのアンチョビづくりがスタートしたのです。
名付けて「ハコダテアンチョビプロジェクト」です。

北斗市にあるレストラン「ポッケディッシュ」の齊藤亘胤オーナーシェフは「せっかく獲れてきているのに、消費されないというところに食に携わる人間としてちょっといかがなものかと思っていた」
「イワシに関して言うと、グラムあたりの価値を最大化するのは、アンチョビだということは間違いないと思う」と語ります。

塩辛などを製造する小田島水産の小田島隆社長も「いかの不漁も大変だが、せっかくとった魚が有効活用されないという部分も我々わかるので、なんとかそれに付加価値をつけられたらと思う。」と意気込みます。

6月のある日、齊藤さんのもとに、イワシが揚がったと連絡が入りました。
仕込むのは、150キロです。

水揚げされたばかりのイワシを洗って、塩を一緒に袋に入れて、フリフリ…。

アンチョビの仕込みは、これだけです。
後は、温かい室内で数か月、熟成させます。

この工程の少なさが、アンチョビづくりの特徴です。
イカの不漁で困っている函館の加工会社にとって、アンチョビづくりは、新たな設備投資もなく参加しやすいのです。

そして今月、函館発のアンチョビが、ついに商品化されることになりました。

こちらは、函館市内の就労支援施設です。
熟成した塩漬けイワシを捌き、瓶詰にし、商品にするまでを請け負っています。

支援施設のスタッフ中塚里美さんは「やはり新しく作業する業務というのがどうしても見つけづらい。(アンチョビづくりを)すごく楽しみながらやってくれているんじゃないかなと思う。」
と語ります。

そうして完成したのが、函館で先行販売されたばかりのアンチョビ、「ハコダテアンチョビ」です。

齊藤シェフは「本当においしいと思って僕は勝負をかけている。地域産業の下支えになるような商品にする。」
「そして豊かな循環、やさしい循環ができるような仕組みの1つにハコダテアンチョビがなればいいなと思っている。」

と期待を寄せていました。

函館を「アンチョビのマチ」に!

挑戦は始まったばかりです。

※掲載の内容は番組放送時(2022年9月12日)の情報に基づきます。

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