あの人と比べて自分はなんてダメなんだろう…いつも自信が持てずに落ち込むあなたに知ってほしいこと

「私は自分が大好き！」と言い切れる人は多くありません。時代の流れの中で変化しているとはいえ、日本人は自分自身の良いところをアピールするのが得意ではないと言えます。それは日本に生まれ、日本で育つ中で社会的スキルとして必要とされる部分でもあるわけで、決して悪いことではないのですが……。
けれど、常に自分を低く評価し、自分の良いところを見つけられないまま日々を過ごすことは、心の健康のためには良くありません。
今回は、自分と誰かを比べて、いつも自分なんてダメな人間だと落ち込むあなたに知って欲しい考え方のヒントを公認心理師の筆者がお伝えします。

人と比べてもいい

まず、自分なんて……と考えているときに、あなたが誰かもしくは何かと自分を比べていることに気づいてください。身近な誰かであることも、インターネット上の誰かであることもあるでしょう。
あぁ、〇〇と比べて自分はダメだと思っているんだな。そう気づくことが大事です。そこで「比べるなんてダメダメ」とは思わずに、比べている自分をまず認めましょう。

人の良いところを見つける力を活かす

人と比べて、自分のできていないところに気づく人は、自分以外の人の良いところを見つけられる人です。
自分ができていないことを素直に認めて、他者のできていることを認められる。それは、とても素敵な能力です。
人づきあいの中で、あなたが見つけた相手の良いところをうまく伝えることができたら、きっと相手の方はとてもうれしいでしょう。人の良いところを見つけられること自体があなたの長所のひとつとなるのです。
せっかく「良いところ」を見つける能力が備わっているのです。ちょっとその力を自分に向けてみてください。
人の良いところは探せるのですから、自分の中でも探せるはずです。アンテナの方向を外側から内側へ。そんな意識で、自分の良いところとまではいかなくても、そう悪くないところを探す練習をしてみましょう。
なにも見つからなければ、私ってなんて謙虚なのかしらと褒めましょう。
ただ、何も見つからないからと言って本当に何もできていないとは思わないでください。そういう人は自分がやっていることをあまりにも当たり前と思っているだけなのです。
何一つできて当たり前ということはありません。朝決まった時間に起きることも。学校や会社の時間にあわせて身支度をして、家を出ることも。みんながやっているから当たり前ではないのです。大人になったから、社会人になったから、母親になったから……やって当たり前。そんなことはありません。
毎日頑張る自分自身のことを過小評価せず、認めましょう。

自分軸を意識する

相手の立場になって考えて行動しましょうと言われて育った日本人は、物事を決めるときの軸を相手や社会一般とする他人軸となりやすいように思います。
けれど、そこを自分はどうだろう、自分はどうなりたいのだろうという自分軸を持つことが心の健康、安定を保つためにはとても大事です。
〇〇をしたいと思っていることも、実は自分以外の人の多くが〇〇をしているから、自分もしたいと思い込んでいるだけということも少なくありません。
本当にあなたがなりたい自分。本当にあなたがやりたいこと。
人づきあいが上手で、たくさんの友達がいるように見える誰かを見て、自分は友達が少ない……と落ち込むことがあるかもしれません。でも、本当に友達がたくさんいたほうがいいですか？
人づきあいの仕方は人それぞれ。本当に心を開ける相手が1人いれば十分。むしろ、多くの人と付き合うと気疲れしてしまう。そういう人はたくさん友達を作らなくてはいけないと思い込んでいるだけで、たくさんの友達が欲しいわけではないのです。
こうすべきと思い込んでいることを見直して、自分がどうなりたいのかという自分軸を育ててあげましょう。

あなたから見える相手は、相手の一部

外から見て「すごいな」「幸せそうだな」と見える人も、それぞれに悩みを抱えていることも多いものです。
あなたが見えている部分はほんの一部です。自分ができていないことで、誰かができていることは見つけやすいもの。でも、あなたが当たり前のようにやっていることができない人もいるのです。
みんなそれぞれ。違っていいのです。自分はどうしたいのか、何を求めているのか。
どうしたいのかわからなくなったら自分軸を意識してみましょう。
今、あなたが思うより、自分自身がなりたい自分に近いところにいるかもしれませんよ。

文：竹原久美子（公認心理師／婦人科クリニック勤務）

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