2022.05.09

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【調査】「函館空港のターミナルビルが大きくリニューアル。具体的にどのようなショップができるのか」(函館)

函館で暮らす人が日々の中で感じている大きな疑問や小さな不思議、気になっていることの数々を、ローカルマガジン「peeps hakodate」が調べる「ピープスの調査報告書」。今回は、こんな質問が寄せられた。

質問

「函館空港のターミナルビルが大きくリニューアルされるとのこと。空港という場所が好きな私としては、個人的にはずっと待ち望んでいました。具体的にどのようなショップができるのか詳しく知りたいです」(40歳・教職員)

ピープスの調査報告

最寄りの市街地である湯の川温泉街までの距離は、わずか3.8km。車を走らせれば10分程度という好立地を誇る函館空港。その物理的距離を「空港」と「市民」に置き換えて、より近くて親密な施設へ生まれ変わろうと、近年はさまざまな試みが行われてきた。例えば七飯町・大沼の食と雑貨を集めたマルシェイベントや、福島町や八雲町とのコラボイベントなど、ローカル性を色濃く取り入れた企画を次々と開催し、単なる航空施設ではない「市民が集まる場所」としての函館空港の新しい可能性を模索し続けている。

そういった一連の試みが続く中での、巨大な変革となるのが今年3月の国内線ターミナルビルのリニューアル。近年の新しい取り組みから携わり、今回のリニューアルでもプロジェクトの中心となるのは函館空港ビルデング株式会社の営業部・商事部の若手社員たちだ。独自の発想と熱意を結集させ、既存の空港では実現できなかった変革を実現させた。

プロジェクトの中心となった函館空港ビルデング株式会社の営業部・商事部の面々。商事部次長の佐藤拓郎さん(後列右から2人目)は、「テーマは“函館ソラボレーション”。地域と空港の新しい可能性を模索し続けたい」と語る。

大きく変わるポイントは4つある。まずは2Fの土産品コーナー『売店 ポルックス』が『THE HAKODATE DEPART(ザ・ハコダテ デパート)』となり、定番土産から稀少性の高い品まで、デパート並みの品揃えを目指すスーベニアショップに生まれ変わった。

3Fの『レストラン ポルックス』は『1854 HAKODATE(イチハチゴーヨン ハコダテ)』となり、看板料理の「北海道産牛のローストビーフ丼」を筆頭に、函館の顔である老舗洋食店『五島軒』やすき焼き店『阿佐利 本店』とのコラボメニュー、空港オリジナルパフェなどメニューの顔ぶれも大きく変わる。

2Fの土産店ゾーン『THE HAKODATE DEPART(ザ・ハコダテ デパート)』と3Fのレストラン『1854 HAKODATE(イチハチゴーヨン ハコダテ)』(ともに完成前のイメージパース)。店舗デザインから紙袋にいたるまで、函館の歴史的建造物から着想を得たデザインに一新。

さらに手荷物検査場を通過して搭乗口までの間にあるラウンジも『FLIGHT FRY(フライトフライ)』としてリニューアル。せたな町をはじめとする厳選じゃがいも3種にバターを染み込ませながら軽く揚げた新感覚じゃがバター「フライトポテト」や、前述の『阿佐利 本店』の名物・コロッケを揚げたてで提供。さらに乙部町「乙部追分ブリューイング」のクラフトビールなども用意し、旅のしめくくりをローカルの味で飾ってくれる。

搭乗口前のラウンジにオープンした『FLIGHT FRY(フライトフライ)』。店舗の色使いは市電の現役最古参車両・530号のカラーリングを意識。看板メニューの新感覚じゃがバター・フライトポテト(左のイラスト)や空弁として海苔弁当などを販売。

これら3つの店のリニューアルによって、函館市民に長年親しまれてきた『ポルックス』の屋号にピリオドを打つことになる。「変える」という決意がいかに本気か、この名称変更を一つとっても透けて見えてくる。

この3つの店のリニューアルに加えて、4つ目に加わる新しい要素が情報施設の新設。1F・到着ロビーにて、観光ガイドにも載っていない、よりディープな旅の楽しみを提案する情報発信基地『LOCAL INFORMATION がっつり道南』のコンセプトは“ローカル市場”。担当チームは合宿まで行い、大勢の地元民の協力を得ながら、旅の人に向けた深くニッチな地元の街ネタを大量に掘り起こした。その情報は壁面のビッグマップやウォール、無料で持ち帰られるカードなど多彩な形で提供する。

1F到着ロビーに誕生した情報発信基地『LOCAL INFORMATION がっつり道南』(写真は完成前のビッグマップとイメージパース)。「函館らしい色」を軸としたカラフルな空間で、サイネージ、ウォール、カード、冊子などで情報を発信。ディープな函館の魅力と楽しみ方をここに凝縮する。

こうして、民営化を契機に大きく変わることとなった函館空港。これまで、第3セクターゆえに空港職員が個人レベルで抱くしかなかった「変えたい」「新しくしたい」という思いが、会社の方向性そのものへと形を変えた結果が今回のリニューアルだ。空港と市民の距離がどれだけ縮まるか、そしてここから発信される函館の魅力が旅行客にどのように伝わるか。注目していきたい。

***
【函館空港ビルデング株式会社】
函館市高松町511 函館空港内
0138-57-8882

peeps hakodate

函館の新しい「好き」が見つかるローカルマガジン。 いまだ開港都市としての名残を色濃く漂わせる函館という街の文化を題材に、その背後にいる人々を主人公に据えた月刊のローカルマガジン。 毎号「読み物であること」にこだわり、読み手の本棚にずっと残り続ける本を目指して編集・制作しています。(無料雑誌・月刊/毎月10日発行)

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