2022.01.27

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大人も子どもも夢中になっちゃう♡プレゼントにもピッタリな「スイーツ」の絵本を知ってますか? #今月の絵本通信vol.7

子どもだけでなく大人も楽しめる絵本を、絵本セラピスト協会認定「大人に絵本ひろめ隊員」であるHBCアナウンサーの堰八紗也佳(せきはち さやか)がご紹介します。今回は 「スイーツ」を題材にした絵本 をピックアップ!これからの季節、バレンタインデーやホワイトデーのお菓子に沿えて贈るのにもピッタリな絵本をご紹介します。

大人も子どもも夢中♡『ケーキに なあれ!』(BL出版) 作:ふじもとのりこ

人気作家・ふじもとのりこさん作の『ケーキに なあれ』は、おいしそうなケーキの表紙がとっても印象的な絵本です。
イチゴやリンゴや栗などに、「ちちんぷいぷいケーキになあれ!」と魔法の言葉をかけてページをめくると……ショートケーキやアップルパイやモンブランに変身!子どもが喜ぶリズミカルなことばが多く使われており、読み聞かせにもぴったりな絵本です。

実はこの絵本、老舗の洋菓子店の実際のケーキからインスピレーションを得て生まれた作品なんだとか!兵庫県・明石市在住の絵本作家ふじもとのりこさんは、2014年に『ケーキに なあれ!』で絵本作家デビュー。表紙のモデルとなる理想のショートケーキを捜し歩いていたところ、辿り着いたのは「くるみや」のショートケーキ。表紙のショートケーキと、中のページに登場するロールケーキは、当時「くるみや本店」で出していたケーキがモデルです。色鉛筆で本物そっくりに描き上げるのが、ふじもとさんの特徴。思わず手を伸ばして食べたくなります。

ふじもとさんによると、色鉛筆の最大の良さは、混色してもあまり色が濁らないこと。

一方で難しいのは、混色が絵具ほど容易ではなく、白色を使えないということ。つまり、白い部分は塗り残さないといけません。そのため、複雑にハイライトが入るモチーフは大変!特にいちごは、小さい凸凹の複雑なハイライトが入るため、かなり大変なのだそうです。色鉛筆だけで表現する匠な技は、大人の目も釘付けに。

そして、子どものリアクションは想像以上

筆者の3歳の息子は、バースデーケーキのぺージを開くと必ずロウソクの絵に向かって「ふぅ~」っと息を吹きかけます。「いただきま~す!もぐもぐもぐ……」と、ケーキを食べる真似もしますし、最後にお皿が空になっている絵を見ると、「ごちそうさまでした。おいしかったね!」と満面の笑顔で言います。文章だけでなく、絵からも情報をキャッチして、物語を感じているようです。

絵本をきっかけに、老舗洋菓子店「くるみや」とのコラボレーションも!

ふじもとさんの待望のデビュー作である絵本『ケーキに なあれ!』を新聞記事などで見た「くるみや」は、「これ、ひょっとしてうちのケーキかな?」と思い、ふじもとさんに連絡をしました。そして、気さくなお人柄のふじもとさんとすぐに意気投合し、コラボレーション商品を出すことに。それが 「みんなのおかし」(税込1080円)です。

11㎝四方の立方体の箱の中にはマドレーヌやパイやくるみのクッキーなど、7種類の焼き菓子が詰まっています。

箱の側面には、ふじもとさんの描いたイラストが!中に入っている全ての焼き菓子を実物と同じ大きさで描かれています。茶色ばかりにならないよう「赤みのある商品も書きたい」とふじもとさんが提案したところ、イチゴジャムのクッキーも加わりました。

箱の内側には「かわいいかたち はいどうぞ」「さくさく ぱくぱく もうひとつ」など、絵本に出てくる魔法のような素敵な言葉が書かれています。
焼き菓子はどれも、しっとりサクサク。「くるみや」とふじもとさんの愛情を感じる優しい甘さで、自分へのご褒美にもピッタリです。

札幌市民に愛される「くるみや」の魅力

札幌市の中心部から車で15分ほどの山鼻地区に位置する洋菓子店『くるみや』。札幌市民で「くるみや」をご存知の人は多いですが、本店は、実は関西にあります。

ふじもとさんの住んでいる兵庫県・明石市に本店を含め3店舗。支店は、全国で札幌山鼻店だけなのです。お菓子は札幌と明石それぞれの工房で作っているので、地域の魅力と特徴を生かし、別々のスタイルで勝負しています。同じお店だけれど違う味わいということです!

札幌山鼻店の名物は、なんと言ってもシフォンケーキ。ふわふわでまっ白なクリームは、甘すぎず、軽くなめらかな口あたり。口に入れた瞬間、淡雪のように溶けていきます。スポンジとの一体感も絶妙で、シンプルな見た目なのに、他にはない特別な美味しさです。

実は筆者にとっては、幼いころから馴染みの味でもあります。甘いものが大好きだった今は亡き祖母の、米寿祝いのために家族で囲んだケーキも、このシフォンケーキでした。

10分の1のサイズにカットされたタイプ(税込270円)は、平日は1日180~200個、土日は300個ほど売れる大人気商品。知る人ぞ知る名物として市民に愛され続けています。このシフォンケーキの味も見た目も、本店と山鼻店では少し違うのですって!

「くるみや」社長に聞いた、札幌支店への想い

1957年(昭和32年)創業したくるみや。2代目である現社長の祖父母が始めたお店で、シュークリームが原点でした。当時、先代の親しかった友人が札幌出身で、よく札幌の話を聞いていたそうです。その札幌のイメージがとても良かったことから、支店を札幌に置くことに決めました。札幌店がオープンしたのは1971年(昭和41年)で、その後1976年に今の山鼻店がオープンしました。

不思議なことに、札幌の店舗では本店のメイン商品であるシュークリームより、シフォンケーキが人気商品になりました。現社長の話では「北海道は乾いた生地のものは売れにくかったのでは」とのこと。そして氷室冴子(ひむろ・さえこ)さんの『クララ白書』という、札幌を舞台にした小説の中で「くるみや」のシフォンケーキが登場したことで、更に人気に火がつきます。

あまりの人気で生産が追い付かないため、明石店のようにクリームに綺麗な横のラインを入れることをやめ、塗ったときのカタチをそのまま残して角のように突っ立ったクリームの塗り方にチェンジ。今もこのスタイルが定番になっています。

札幌山鼻店の壁は、大理石でできているのですが、アンモナイトの化石が埋まっていると、一部マニアのあいだで話題になっています。筆者も実際に見せていただきました。誰でも見える部分に、小さくですがハッキリと、ありました!
冬休みや夏休みには、学生さんがカメラを持って、化石目当てに訪れることが多いそうですよ。

***

洋菓子店「くるみや」の 『お菓子は永遠の夢であり、語らいであり、祈りである』 という創業当時からの思いと、絵本作家ふじもとのりこさんの 「幼いころ、たくさん愛情をもらった深い記憶。それがその子の一生を守る力にきっとなる。そんな絵本を作っていきたい」 という思いがひとつになって生まれた『みんなのおかし』。
絵本とあわ併せて、ぜひ味わってみてください。

【取材協力】
「くるみや」札幌山鼻店
住所:札幌市中央区南17条西11丁目2-3
電話:011-563-2638
営業時間:午前9時~午後8時
ホームページ https://kurumiya.jp/

【参考】
『ケーキに なあれ!』(BL出版)
ふじもとのりこ
定価 本体1,000円+税
22×21cm 24頁

ふじもとのりこブログ「絵本あそび」
https://ameblo.jp/lunlun-koubou/entry-12301043425.html?frm=theme

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「連載コラム・今月の絵本通信」
文|HBCアナウンサー 堰八紗也佳
HBCラジオ 『アフタービート』では絵本セラピスト協会が認定する「大人に絵本ひろめ隊」の隊員でもあるHBCアナウンサーの堰八紗也佳(せきはち・さやか)が、毎月最終木曜日の放送で絵本の情報をお届けしています。ぜひラジオもお聴きください。
Instagramも更新中! @hbc_sekihachisayaka

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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