2021.12.20

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【映画ファンが厳選】クリスマスシーズンの「今」だからこそ観てほしい!冬にぴったりな心温まる映画【3選】

皆さん、ごきげんよう!満島てる子と申します。普段はバーの店長だったり、LGBTパレードの実行委員として人前でおしゃべりしたり。 札幌でちょこまかと何かをしている“女装子” のゲイで~す。WEBマガジンSitakkeでは、お悩み相談コラムを担当してます。

クリスマスシーズンも到来ね!え?今年の予定ですって?24日が金曜でしょ、で、翌日の25日は土曜ってなると……飲み屋にとっては書き入れ時の週末じゃないのよ!(怒)てなわけで、あたしは今年もスイートな思い出作りなんてのは程遠い生活をしながら、おそらく働く女装としてサンタさんに謎の共感を覚えつつ、えっさこらさしてるんだろうなと思うわけですが、皆さんはどうやって過ごす予定かしら?

「大好きなあの人と……」なんてどスイートなご予定がある人、家族や友達みんなでワイワイする人、なんやかんや忙しくてまぁひそれとなくひとりで過ごすかなって人、色々いそうよね~(え?「あたしは暇だしリア充爆発しろって思ってる」ですって?よし、君とは仲良くなれそうだ!笑)。

今回の記事では、「クリスマスにおススメの映画3選」というテーマで、読者の方々にあたしの“好き”を思い切り押し付けちゃおうと思います!(笑)とは言いつつそれぞれの映画が、恋人と観るによしだったり、ひとりでじっくり楽しむに値するものだったり、ちょっとずつ性格が違っているの。だからもし3本のうちのどれか1本でも、「面白そう!」と皆さんの興味を引くところがあれば幸いです。

おすすめ①『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001年)

まず一本目は、体裁としてはとんでもなくベタなラブコメなのに、ところどころスパイシーで癖になっちゃう名作を。

この映画は、レネー・ゼルウィガー演じる主人公のブリジット・ジョーンズが、親戚のクリスマスパーティーへと両親に連れていかれるところから始まります。シングルなのがコンプレックスで、出版社の仕事もいちいち「あちゃー……」、その上とんでもない大酒飲みでバキバキのヘヴィースモーカー(もうこの時点で好き)。そんなブリジットを案じて周囲は、堅物なんだけどイケメン弁護士のマーク・ダーシー(コリン・ファース。嗚呼~結婚してぇ)を、パーティーで彼女に紹介するのです。

ただ、お互いの第一印象は最悪。しかもマークから「あんなだらしない生活態度の人は無理」と陰で言われてしまう始末。
そのショックからブリジットは、自分を変えるための努力を始めようとするのですが、その矢先、上司のプレイボーイ、ダニエル・クリーヴァ―(ヒュー・グラント、しんどいぐらいセクシー)との距離感がなんだかおかしなことになってきて……?!

※だっさいパジャマ姿でワインをがぶ飲みしながらセリーヌ・ディオンのAll By Myself。そしてタイトルがドン!この時点で「むっちゃわかる……」と悲しくなりながらも、その絵面が面白すぎて大爆笑。

思わず「ねぇ……むっちゃわかるんだけど……どうしてそうなっちゃうのよ!」と突っ込みたくなるような、目も当てられない失敗ばかり。でも時にはとっても芯の強い女性として振る舞うブリジットの姿に、初見時まだ大学生で失恋したてのあたしは自分の姿を重ねて、笑いと涙でごちゃごちゃになりつつ無茶苦茶励まされたのを覚えています。ちなみに、シリーズ3本目まで出ているのですが、2作目はやたらとぶっ飛んでて爆笑、3作目に至っては、辛いことがどれだけあっても自分の力を信じて前を向こうとするブリジットの姿に、映画館で予想外の大号泣をしたなぁ……(3作目が個人的には一番好き)。

恋人同士で観てもきっとウケると思うんだけど、「クソッ!今年もひとりきりのクリスマスよッ!」なんてちょっとくさくさしがちなそこのあなた。間違いなくぶっ刺さる作品だと思うので、ぜひご覧あれ。ついでに、ひそかなおすすめポイントなのですが、よくよく聴くと使ってる音楽がとっても味あるものばかり。洋楽好きとしては、チャカ・カーンの下りには思わずクスっと来ちゃうし、「Ain’t No Mountain High Enough」がかかるシーンなんて感情ゆさぶられっぱなし。あ、ちなみに観た人いたら、ラスト笑ったか泣いたか、いつかあたしに教えてね(割と分かれると思う)。

おすすめ②『シザー・ハンズ』(1991年)

次にご紹介するのは、今や名コンビとなっているティム・バートンとジョニー・デップが、初めてタッグを組んだ傑作。実はこれもクリスマスがテーマになっているんです。

雪がしんしんと降り積もる中、ベットに入った孫娘。寝かしつけようとするおばあちゃんは、その子から「聖夜が近づくとどうして雪が降るのか」と突然質問をされます。そこでおばあちゃんが語り始めたのは、ハサミが手の奇妙な男が主人公の、美しく、そして切ないお話でした。

※「シザーハンズ」の名前の通り、ハサミが手になっているエドワード。ご飯を食べた後口を拭くのも大変そう。実はこれ、全部実物のハサミでできていたんだとか。

化粧品の訪問販売をしていたペグは、ある日町はずれの山の上にある屋敷を訪れ、そこで人造人間のエドワードと出会います。エドワードは、生みの親の発明家が死んでしまい、広い敷地にひとりぼっちで取り残されていたのでした。ペグは、最初こそ大量のハサミでできた手におびえながらも、エドワードのことが気にかかって思わず家に連れて帰り、家族としてもてなすことにするのでした。様々な才能を発揮して、街の人々とも少しずつ交流を広げていくエドワード。そんな中で彼は、ペグの娘のキムに好意を抱くのですが……。

観る前、ジャケ写に載っているエドワードのあまりのビジュアルの強さに、勝手にジャンルはホラーなのだと勘違いしていたあたし。それぐらい印象に残る美術的演出をするのはティム・バートンのお家芸と言えるでしょう(そしてそれについていけるジョニデの凄さたるやね……)

この映画に登場する街並みのセットもパステルカラーで統一されていて、「え!こんなとこ住みたい!」となるぐらいかわいいビジュアルなのですが、これはフロリダのとある街の実際の家々を借り上げて撮影されたんだとか(いまだにそのままの装飾で住んでる人もいるって噂。いつか行ってみたいわ~)。

※ピンクや紫など、独特の色付けがなされた街並み。車もそれに合わせてカラーリングされているところに、ティム・バートンのこだわりを感じます。

そんなアートな側面はもちろん、物語そのものも最高
大衆・マイノリティ・公権力の関係性。『フランケンシュタイン』とは方向性を変えた“怪物”というモチーフ。不良としての青少年像……なんてかたっ苦しい分析を思わずしたくなっちゃうのはあたしの癖なんだけれど……。(笑) エドワードの、まっすぐなキムへの想いだったり、ハサミの手を持つというだけで周囲から様々に翻弄される姿だったり。
その全てに誰もが胸をきゅっと締め付けられるはずです(と言いつつやたら笑えるところも用意されてるのはさすがティム・バートン)。

子どもから大人まで、幅広い年齢層の心を打つ内容となっているのですが(海外のメディアなどでは「子どもの頃に見せておくべき映画」によく選ばれています)、映画好きなパートナーや友達がいたらぜひ一緒に。ちなみに「一回見たことある」という方も、劇中に登場する「白・黒・赤・パステル」という色の使い分けとその意味に注目して観返してみると、きっとより深く楽しめると思いますよ!

おすすめ③:『東京ゴッドファーザーズ』(2003年)

最後におススメするのは、早逝の鬼才アニメーター、今敏氏の作品。
『パプリカ』や『パーフェクトブルー』、『妄想代理人』といった、スリリングでどこかおどろおどろしいファンタジーを手掛けることでよく知られるこの監督としては、ちょっと異色にも思える、ハートウォーミングな物語です(でもスリリングさは他のと共通してるかも)。

ギン、ハナ、ミユキは、新宿に生きるホームレス。年齢も性別も異なる3人は、とあるクリスマスの夜、ゴミ捨て場で驚きの“拾い物”をします。それはなんと、生まれたての赤ちゃん。「キヨコ」と名付けられたこの子を自分たちで育てるかどうか散々もめた挙句、3人は彼女の本当の親を探そうと決意するのですが、その道すがら様々な事件に巻き込まれていきます。

まさかの大抗争があるかと思えば、かつての同僚と再会したり、離れ離れになっていた肉親との邂逅も。いろんな出来事がきっかけとなって、それぞれの過去や心情が解き明かされていきます。その過程で、赤ちゃんの親に関する謎もどんどん解き明かされていき……果たして3人は、無事にキヨコを送り届けることはできるのでしょうか?

※3人の意見食い違いすぎてぎゃくに生きピッタリなやりとりも必見。こんなに何もかもバラバラなのに、そんなメンツがキヨコをきっかけにまとまっていく姿には、きっとグッとくるはず。

思わず口から出ちゃう「え?」が多すぎて、観てる間中ずっとあたし「え?」って言ってんじゃないかしらって思ったぐらい、展開がスピーディーなこの映画。ネタバレになるといけないからあんまり詳しくは書けないんだけれど、「ちょ、偶然にしてもちょうどよすぎない?」「なに今のビビる!」があまりに続くので、だんだん驚きを超えておもしろおかしく感じてきちゃうのよね。初めて観たときはずっと表情筋動かされっぱなしだったような気がします。「聖夜の奇跡」って重なりまくると、ありがたいとかじゃなくギャグになっちゃうんだなって……。笑

とはいえ、そんなお笑いだけで終わらせないのが今監督のすごいところ。ホームレス狩りや人種差別といった社会問題にも焦点を当てながら(とはいえ、セクシャリティに関しては少し問題含みかなってセリフが使われていたりもあったりするんだけれど)、人間のつながりについてふわっとメッセージを投げかけていく描き方には、「見事……!」と感服せざるをえません。ギン、ハナ、ミユキが、キヨコをきっかけとして“家族”になっていく姿には、きっと誰もがほっこりすると同時に、「自分にとっての家族って何だろう」と考えさせられてしまうはず。また、三者三様にいろんな後悔やトラウマを抱えているのですが、どれも少なからず自分にも心当たりのあるものばかりで、そんな苦みもいいアクセントになっているように思います。

内容は割かしヘビーな部分もあるし、ひとりで楽しむのが一番スタンダードなのかもしれませんが、「もう家族でクリスマス過ごすなんてやじゃない?」というテンションになってきちゃう中学生・高校生ぐらいのお子さんがいる家庭で、あえてみんなで集合して観るとか、大人になってから親と一緒に実家で鑑賞するとか(ちなみに、正確に言うとクリスマスから年越しまでのストーリーなので、お正月にもピッタリですよ)、そんな楽しみ方もありえるかも。また、この映画を見た後は、ぜひ今敏さんの他の作品にも挑戦してみてください。きっとそのギャップに驚きながらも、世界観の虜になるはずです。

ま・と・め♡

いかがだったかしら?いかにもクリスマスっぽい『ホームアローン』とか『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』とかとは(でもごめんなさい、どちらの映画も実は大好きです)、少~し毛色の違うものを選んでみたのだけれど、どれか気になる作品あったかしら。どれもDVDでもレンタルできるはずだし、様々な配信サービスでも提供されているから、クリスマス期間じゃなくても、気が向いたときによければ観ちゃってくださいね!

でもさ、誰かとクリスマスに映画観るなんて、やっぱりちょっと憧れよね。
あたしったら、人と聖夜に鑑賞したムービーなんて、記憶の限りでは、悪友たちと酒飲みながらジョン・ウォーターズ監督の『フィーメール・トラブル』でゲラゲラ笑ってた思い出ぐらいしかないわ……(絶対人におススメできない、超お下品でお下劣な映画なの。ディバインってドラァグクィーン、知ってる?苦笑)。

あ~ん、いつかあたしもロマンチックなクリスマス、絶対過ごしてやるんだから!
ではでは皆さん、素敵な聖夜を。Sitakkeね~!

***
文:満島てる子
イラスト制作:トーマス・オン・デマンド
編集:なべ子(Sitakke編集部)

満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。) 2021年7月よりWEBマガジン「SItakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。

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Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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