2021.12.11

みがく

「今の靴磨きって、こんなにかっこいいの!?」北海道の足元に革命を。靴磨き職人のたゆまぬ挑戦

靴は人々の思いを乗せて色んなところへ連れてくれる。街ゆく人々の足元を輝かせている靴磨き職人がいます。道内唯一の靴磨き専門店 THE LOUNGE by Brift H(ブリフトアッシュ) 代表の林田直樹さんです。

前編 「自宅でもできる靴の手入れ」に続いて、本編では林田さんの靴磨き人生に迫ります。

イメージを覆す靴磨きとの出会い

北海道を拠点に靴磨き文化の発信に尽力している林田さんですが、靴磨きの「何が」林田さんを熱くさせたのでしょう。靴磨きとの出会いから紐解きます。

ー林田さんが靴磨きを始めたきっかけは?

林田:旭川に10年以上住んでいた頃、古着屋で革靴を購入したんです。その時に店員さんからシューケア商品をおすすめされて、趣味で磨くようになりました。もともと、何でも綺麗にするのが好きで。除雪なんかはやる範囲ビシッと決めて、綺麗にできた時の達成感といったら。気持ちいいんですよ。笑

ーBrift Hとの出会いを教えてください。

林田:本屋で目に止まった雑誌にBrift Hが載っていて。驚きました。靴磨きって路上で磨くイメージでしたけど、今の靴磨きってこんなかっこいいの!?って。2015年には札幌店が出来ることを知って、旭川からワークショップに通い始めました。初めて受講した時は、創業者の長谷川裕也さんもいらしてて。カウンター越しでバシッとスーツを着てカッコよく磨くものだから、当時は衝撃を受けましたね。

Brift H創業者の長谷川裕也さん

ーワークショップでの衝撃が林田さんの心を灯したんですね。

林田:靴磨きを教わっているうちに、自分でも色んな靴を磨いてみたくなって。旭川の古着屋にお願いして、お店の靴をただで磨かせてもらっていたら、自分で磨いた靴が売れ出したんですよ。オーナーもさすがに、ただってわけにはいかないというので、靴磨き代としてお金をいただいて。それをきっかけに、靴磨きを仕事として考えるようになりました。

ーそこから本格的に靴磨きが始動したんでしょうか?

林田最初は副業感覚で、地道に活動していました。そうこうしていたら、Brift H 札幌店の職人が辞めるという情報を聞きつけて。後任に私の名前が挙がっていたようなんです。え、私?って一瞬疑いました。笑 後になって、本当に長谷川さんから後継ぎの話をいただいて、2018年から札幌店の代表を務めることになりました。

ー任された時はどんな心境でしたか?

林田:本当に驚きましたが、と同時にこれはやるしかない!チャンスだ!と思いました。もちろん不安が無いかと言えば嘘になりますが、靴磨き業界では知らない人はいない長谷川さんからお声がけいただいたら、それはありがたく挑戦させていただこうと。

靴を磨きは人と人との縁を繋いでくれる

靴磨きのイメージを変えた衝撃から縁が重なって、靴磨き職人へと転身した林田さん。北海道を拠点としながらどんな靴磨きの姿を目指していくのでしょうか。

ー今後、北海道でどんなことをしていきたいですか?

林田:正直、北海道で靴磨きが当たり前になるのには、時間がかかると思います。現状として、靴修理の需要の方が高いので、修理屋として構えているところが多いんです。でも課題はチャンスに変えられる。靴磨きの魅力が広がる可能性は秘めてます。

ゼロからイチは長谷川さんがつくって下さったので、私はイチを膨らませて、靴磨きの認知を上げていきたいです。特に靴磨き業界の傾向として、女性のお客さんはまだまだ少ないので、男女問わずクリーニング感覚で気軽に来てもらえるような方法は考えていきたいですね。

実は、2021年12月19日からBrift H SAPPOROに店名を改め、お店も新しくなります。新店舗の運営が順調に進めば、将来的には道内各地にも展開したいですね。全道でイベントを開いて、ツアーを企画したり。地方にも意外と、普段は履かないけど革靴が好きという方が素敵な靴を持ってたりすると思うんです。そんなストーリーに出会えるのもまた楽しみの一つ。

ー沢山の人の靴を磨いてきた中で、印象に残っているエピソードは?

林田:亡くなった母親の靴を磨いてほしいと頼まれたことがあって。「古びてしまったけど、いくらかかってもいいから」って言われたんです。実際、革が硬くなって手の施し用がないような状態でした。ふっくらした状態に戻すのは難しかったですけど、靴磨きを任せてもらえて嬉しかったですね。

ー林田さんにとって靴磨きとは?

林田:私にとっての靴磨きは、人と人の縁を繋いでくれるものです。お客様やBrift Hのスタッフ、その他の取引先の方等、靴磨きを始めたことによってどんどん良いご縁に恵まれて今があります。靴磨きという仕事を通じてそういったご縁を大事にしながら靴磨きの価値を高めていけるよう試行錯誤していきたいです。

文|浅利 羽晶
Instagram|@nilamekko
edit|なべ子(Sitakke編集部)

【取材協力】
THE LOUNGE by Brift H(ザ・ラウンジ バイ ブリフトアッシュ)
<新店舗>
Brift H SAPPORO
〒060-0063
札幌市中央区南3条西8丁目11-2 島屋ビル 2-C
Instagram: @brift_h_sapporo

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

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