ランドセルに扇風機、カッターにハサミ…整然と並ぶ製品の材料は、すべて厚みのあるボール紙。いま旭川市の8条通ビルヂングの2階で、秋田公立美術大学の4年生・関口史紘さんによる作品展「紙と十二年」 が開かれています。
身の回りの品を、見た目のみならず実際の動きまで忠実に再現する「紙模刻」。関口さんはその制作を小学4年生から続けてきました。幼少期から工作が好きで、市販のペーパークラフトを数多く作るうちに、凹凸や質感を印刷でごまかすのでなく、形や素材を細部まで正確に再現したいと考えるようになりました。同時に動かせないことにも物足りなさを感じ、仕掛けを追求するようになったと言います。
会場には、金具をひねってかぶせが開閉する実物大の「ランドセル」、首が伸び縮みする「扇風機」などの大物から、紙のしなりを利用して柄が開くように工夫した「爪切り」、ボール紙を重ねて密度を上げる積層技法を取り入れた「はけ」や「はさみ」など、小品ながら技やギミックが光る25作品が並びます。
関口さんは「やろうと思えば、この作品は誰でも作れます。でも、夏休みと冬休みで年に2作、12年に渡って続けてきたことが積み重なって出せる、すごみや面白みがあるのではないでしょうか」と自身の作品を振り返ります。
大学ではプロダクトデザインや漆工芸を学び、来春には建築模型を作る札幌の企業に就職が決まっている関口さん。「今後もライフワークとして続けていきたい」と笑顔を見せます。
開催場所:8条通ビルヂング 2階(旭川市8条通17丁目85-7)
会期:~2021年12月5日(日)
時間:9:00~18:00
料金:無料(手は触れずに見学を)
問い合わせ:関口さん(090-9439-2316)
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