森町字砂原に店を構える和菓子店『きのした菓子舗』は、およそ半世紀前に地元出身の菓子職人・木下勧(すすむ)が創業し、現在は息子である木下信さんが2代目として看板を継いでいる。
創業者の勧は、17歳で菓子の世界に入り、地元の『七福堂』で修業を積んだのちに旭川の老舗『壺屋』に入社。札幌の支店で腕を磨いた。その後、森町に戻り砂原の会所町にて『きのした菓子舗』を開業。季節の練りきりをはじめ、繊細な飾り菓子をつくる腕は業界内で誰もが認めるほどだった。その技術を真摯に折り目正しく継承してきたのが息子の信さんである。
「当初、店は3人兄弟の一番上の兄が継ぐことになっていたので、僕は30歳になるまでサラリーマンとして働いてました。でも兄が跡を継ぐ話が白紙になったことで状況が変わった。菓子職人としてはあまりに遅いスタートということは重々わかっていましたが、それでも脱サラして跡を継ぐことにしました。父からは『その歳じゃ手は固まってるし、柔軟性もないから厳しい』と難色を示されましたが、おまえが本気なら3年でいっぱしの職人にしてやると言ってくれて。いざ修業が始まったら、とにかくもう...厳しかったですね」
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