人々から画期的だと騒がれていたのは、一昔前。もはやドローンの存在に驚く人は極めて少数だろう。もともと軍事用、または産業用(農薬散布など)として使われていた無人航空機・ドローン。その狭き市場に「空撮用」という一般消費者向けのドローンが開発・販売されたのが、いまからおよそ15年前。
以来、ドローン撮影は急速に広まり、写真や動画の映像世界に革命を起こした。同時にドローン空撮のサービスをメインとした事業者も次々現れ、ここ函館でも例外ではない。
2023年、函館でドローン空撮を専門とするサービス『トモソラ空撮』を立ち上げた畠山智彰さん。
会社員人生から脱却して、50代を過ぎてから始めた新規事業だ。
畠山さんは2020年9月に中咽頭がんと診断され、札幌の北大病院に入院することに。治療を受け続け、翌年には仕事に復帰したが、体力的に続けるのが難しくなり会社を辞めた。その後、これからの歩むべき道を模索していたさなかに出会ったのが、ドローン撮影だった。
「テストで初めて自分で飛ばして、そのときに映し出された映像に感動したのがきっかけです。最初はあくまで趣味として楽しみ、撮影した映像をYouTubeにあげたりしていたんですが、函館で始める事業としての将来性を考えたとき、これは需要があると思いました」ちなみにドローン撮影の技術的なことについては教えてくれる人は誰も見つからず、すべて独学。まさにゼロからのスタートだった。
畠山さんは事業開始にあたり宣伝チラシを作成し、さまざまな箇所に設置をお願いして歩いた。そのうちの一つだった恵山町の道の駅『なとわ・えさん』でナトワショップ&カフェを運営する会社の代業者から、同施設での記念空撮サービスの委託を受けたことで活路を拓き、現在はその委託事業、企業用・観光用などの空撮を請け負う自社の営業、そして日々の暮らしを支えるアルバイトをしながら『トモソラ空撮』を維持・継続している。
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