2021.09.02

ゆるむ

好評開催中!「キース・ヘリング展」の魅力を学芸員に聞いてみた。

札幌芸術の森美術館で好評開催中の「キース・ヘリング展」。
「キース・ヘリング」にピンと来ない人も、トップ画像の作品をみたことがある人は多いかもしれませんね。
この絵を描いたアーティストが、キース・ヘリングです。キース・ヘリングは1980年代に一躍世界的アーティストとなり、約10年という活動期間にも関わらず、今も愛され続けるアーティストです。そんな彼の作品を集めた展覧会が先日、来場者数1万人を突破!その魅力は何なのでしょう?

展覧会の担当学芸員、芸術の森美術館の山田のぞみさんに聞きました。

――キース・ヘリング展も終了まで残り1ヶ月を切りました。
おかげさまで、老若男女問わずいろんな方にお越しいただいています。
ファッションアイテムなどに作品が使われることも多いので、おしゃれやアートに敏感な20代以上の女性も普段の美術展より多くお越しいただいています。

――世代を問わず、30年以上にわたって今も愛されるのはなぜなんでしょう。
彼の作品は、太い線や明るい色使いなど、どこかアニメや漫画に通ずる親しみやすさがあります。ポップでカラフルな色彩で、可愛らしくオシャレ。
見ているだけでなぜか明るい気持ちになれるので、さまざまな方に楽しんでもらいやすい。
長く愛されているのは、そんな部分が作用しているのではないでしょうか。

――キースの展覧会が札幌で開催されるのは約20年ぶりです。改めて今回の見所はどこでしょう。
展示前半部分は、「これぞ、キース・ヘリング」と言えるような、カラフルでポップな作品が並びます。
中盤では、おもちゃ箱をひっくり返したような、キースの絵画からそのまま飛び出してきたような彫刻を展示しています。会場内では全作品写真撮影OKなのですが、
お子さんが彫刻の前で作品と同じポーズを取って、親御さんが写真を撮影していたのも印象的でした。

――展示後半部分はいかがですか?
後半部分はガラッと作品の印象が変わる、キースの内面的な思想や思考が色濃く出ている作品が並びます。
キースのファンの方も見たことがないような展示が多いのも、後半部分かもしれません。
中には絵が浮いているように見える展示もあったりと、展示方法にもこだわっているのでそこも見所ですね。

――展示作品はかなりバラエティーに富んでいるのですね。
今回は全部で約160点を展示しています。
キースは、1988年に「ポップショップ東京」という自分の作品をデザインしたグッズを売るショップを開店したのですが、会場では当時のグッズやお店スタッフが着ていたジャケットなんかも展示しています。
さらにキースがデザインを手がけたレコード、日本で行われたチャリティーライブのポスターも展示しています。

――そんな中で、山田さんご自身の一番のお気に入りは?
会場に入ってすぐ、大きな作品が目に飛び込んできます。
とてもカラフルな色彩と太い黒い線が、縦3m、横4mの大きな布にびっしりと描かれています。巨大な作品はアーティスト自身も制作にとてもエネルギー使うのですが、生で見るとその力がこちら側にもビリビリと伝わってくるようで、一気に引き込まれます。

――実際に企画に携わり、「こんな作品もあるのか!」と驚いた作品はありますか?
一番驚いたのは「ブループリント・ドローイング」という作品ですね。
「これもキース・へリングが?」と、企画を作っていく段階で思ったのを記憶しています。
彼の作品はシンプルなアイコンで「一つのイメージをダイレクトに伝える」作品が多いと思っていたのですが、ブループリントは、漫画の「コマ割り」のような構図を使っています。さらに可愛らしいイメージとは一転、描かれているのは人が犬にかまれているシーンだったり、混沌とした世界。色合いもカラフルではなく、白黒を基調にしています。キースのファンでも、見たことがない珍しい作品かもしれません。

――キースは作品が色んなアイテムにも使われています。会場ではグッズ販売もありますか?
Tシャツや、展示作品を網羅した図録などを販売しています。
先ほどキース本人が東京にポップショップと呼ばれるお店を開店したというお話をしましたが、会場ではその当時と全く同じデザインのTシャツなども販売しています。おしゃれなものばかりなので、ご来場いただいた帰りなどにぜひご覧いただければ。

――最後に改めて、記事を読んでくださっているみなさんに一言お願いします。
キース・ヘリングは「アートはみんなのものでなければならない」と語りました。
美術作品はその価値や価格が上がっていくことも一つのステータスですが、彼はそうして特権階級の人たちだけが楽しめる、触れられるようなアートに対して、アンチテーゼがあったのだと思います。その思いの一つが、安価でグッズを販売する「ポップショップ」という形だったり、有名になるきっかけだった「サブウェイ・ドローイング」という誰でも見られる地下鉄構内という場所で作品を描く活動だったりします。
美術展やアートというと、どこか小難しいイメージを持たれる方もいるかと思いますが、キース・ヘリング展はどんな方でも、見て、感じて楽しめる作品が多い展覧会ですので、気軽にお越しいただければと思います。

***
おしゃれで可愛らしい、ポップなアートが魅力なキース・ヘリング。
会場では全作品の写真撮影もOK!もちろんSNSへの投稿もOKのようです!
お絵かきコーナーもあったりと、世代を問わずお子様連れも楽しい時間が過ごせそうです。

アート×コミュニケーション=キース・ヘリング展
https://www.hbc.co.jp/event/keithharing/

Sitakke編集部

Sitakke編集部やパートナークリエイターによる独自記事をお届け。日常生活のお役立ち情報から、ホッと一息つきたいときのコラム記事など、北海道の女性の暮らしにそっと寄り添う情報をお届けできたらと思っています。

この記事のキーワードはこちら

SNSでシェアする

  • twitter
  • facebook
  • line

編集部ひと押し

あなたへおすすめ

エリアで記事を探す

FOLLOW US

  • twitter